消防操法

消防操法とは

消防操法は、日本の消防訓練における基本的な器具操作と動作の方式です。総務省消防庁が定める『消防操法の基準』に基づいており、火災消火を想定した基本操作の訓練として、主に消防団で実施されています。

概要

消防操法は、消防職員や消防団員が基本的な操作を習得するための訓練です。男性は小型可搬ポンプ操法とポンプ車操法、女性は軽可搬ポンプ操法を行います。訓練では、防火水槽からの給水、火点（かてん）への放水、撤収までの一連の手順を演じます。防火水槽や火点の位置、台詞、動きはあらかじめ決められています。

全国規模で大会が開催され、ポンプやホースなどの操作の速さ、正確さ、動きの美しさを競います。採点は、各動作の正確さや火点の的を倒すまでのタイムを減点方式で評価し、減点が少ないチームが上位となります。

以前は、実際に放水を行わない「空操法」も行われていましたが、近年は、ホースを伸ばして的に放水する競技が主流になっています。しかし、一部の市町村や郡大会では、依然として空操法が行われることもあります。

意義

消防操法の目的は、以下の通りです。

基本的な操作の習得: 正確なポンプ操作や水圧管理、給水時の注意点などを習得します。
規律ある行動: 騒音や混乱が予想される火災現場で、正確な操作と命令系統を遵守した行動を行います。
正確な放水: 危険を伴う放水中の筒先員交代の手順などを学びます。
安全確認: 乗車時、降車時など、現場における安全確認を行います。
ホースの管理: ホースに沿って走ることで、現場で自分たちのホースを見失わないようにします。

統一基準によらない操法

消防団レベルでは、上記以外にも、寒冷地でのタンク付き消防ポンプ自動車を使用した操法、消火栓を使用した消火栓操法、女性消防団員向けの操法など、独自の操法が導入されています。また、全国大会で使用される操法を、実際の有事に近づけるため、最新装置の使用を許可したり、実際に使用する機材の使用を認めたりするローカルルールも存在します。

消防操法とは異なるものの、救命救急や礼式・指揮の訓練も、同様に基本的な手順の習得を目指すものとして扱われることがあります。

問題点

消防操法は、速さや正確さだけでなく、規律や動きの美しさも求められるため、以下のような問題点が指摘されています。

形式主義: 練習時間の大半が、規律やシンクロした動きの習得に費やされ、実際の火災現場での動きとはかけ離れている。
過剰な訓練: 大会出場を目指す地域では、長期間にわたる過剰な練習が強いられ、消防団員に多大な負担がかかる。過剰な訓練による健康被害や、団員の離脱も問題となっている。
精神的な負担: 過剰な訓練や結果へのプレッシャーから、消防団員が精神的な負担を負うケースや、自殺に至るケースも存在する。
大会至上主義: 練習が「競技大会のための訓練」になってしまい、実際の現場での活動に役立たない。
組織の問題: 大会での競技順を巡るトラブルから、消防団員が大量退団する事例も発生している。

近年では、これらの問題を改善するため、一部自治体では、従来の形式的な訓練から、より実践的な訓練へと転換したり、大会への出場を任意としたり、大会そのものを廃止するなどの動きが出ています。

全国消防操法大会優勝消防団（隊）一覧

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脚注

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外部リンク

消防庁
消防操法の基準
財団法人 日本消防協会
目で見る消防操法
* eカレッジ

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