涙の紅バラ

涙の紅バラ (Roses Are Red): ボビー・ヴィントンの原点にしてポップスの名曲

「涙の紅バラ」（Roses Are Red）は、1962年に発表されたポップスのスタンダードナンバーです。ポール・エバンスが作曲し、アル・バイロンが共作として名を連ねています。この曲は、ボビー・ヴィントンの歌手としてのデビュー・ヒット曲として広く知られています。

誕生秘話と大ヒット

エピック・レコードと契約したものの、当初はセールスが伸び悩んでいたボビー・ヴィントン。解雇の危機に瀕していた彼は、スタッフを説得し、未採用曲の中から「涙の紅バラ」を選び、歌手としてレコーディングに臨みました。

自身の芸能生活の存続を賭け、ボビーは自らプロモーション活動を展開。その結果、「涙の紅バラ」は1962年6月にはチャートの1位を4週間記録する大ヒットとなり、見事ゴールド・ディスクを獲得しました。イージー・リスニング・チャートでも1位を獲得し、R&Bチャートにもランクインするなど、幅広い層からの支持を集めました。イギリスでは15位に留まったものの、世界各国でヒットし、ドイツ語でもレコーディングされるほどの人気を博しました。同名のアルバムも最高位5位を記録しています。

当初R&B調で録音されたものの、満足のいく仕上がりにならなかったため、ロバート・マーシーによるカントリー調のアレンジで再録音されました。この際、パッツィ・クラインを意識した歌唱法を取り入れたと言われています。

日本での展開

「涙の紅バラ」という邦題は、当時日本での発売権を持っていた日本コロンビアが、美空ひばりの同名曲からインスピレーションを得て名付けられました。

映画での使用

マーティン・スコセッシ監督による映画「グッドフェローズ」（1990年）では、コパカバーナのシーンでボビーの長男であるRobby Vintonがボビー役で出演し、「涙の紅バラ」を歌う場面があります。

主要なカバーアーティスト

「涙の紅バラ」は、数多くのアーティストによってカバーされています。

ボビー・ゴールズボロ (1964)
シェリー・フェブレー (1962)
パティ・デューク
ジム・リーブス
ソニー・ジェイムス (1969)
フレディ・フェンダー (1975)
ポール・エバンス
ロニー・キャロル（1962）全英3位
山下敬二郎（1962）

参考文献

Top Pop singles; 1955-2012, ed. by Joel Whitburn Record Research, c2013
Top Pop Albums; 1995-1992, ed. by Joel Whitburn Record Research, c1993
Top Adult contemporary singles; 1961-2006, ed. by Joel Whitburn Record Research, c2007
* Billboard book of number one singles, by Fred Bronson, Billboard Publications, c1985

「涙の紅バラ」は、ボビー・ヴィントンのキャリアを決定づけただけでなく、時代を超えて愛されるポップスの名曲として、その輝きを放ち続けています。

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