液体空気

液体空気（えきたいくうき）

液体空気とは、空気を低温で液化した状態の物質を指します。法的には「液化空気」とも呼称され、主に工業用途で広く利用されています。液体空気はわずかに青みを帯びており、特に注目すべきはその沸点です。1気圧下での沸点は約-190度Cと非常に低く、常温では液体の状態を保つことができません。これは空気の成分である窒素や酸素が常温では気体であるため、低温に冷却する必要があります。

液体空気の生成方法

液体空気は、空気を圧縮または冷却することによって作り出されます。この過程では、空気中の成分が液化し、特に沸点が異なる窒素と酸素が分離されます。液体空気を放置すると、沸点が低い窒素が最初に蒸発し、その後に酸素が残ります。この特性を利用することで、工業的に窒素や酸素を効率良く得ることが可能です。さらに、液体空気からは希ガスや他の成分も取得できるため、化学産業などでも用いられています。

液体空気の歴史

液体空気の発見は1860年代にさかのぼりますが、1895年にカール・フォン・リンデが空気を加圧し噴出・膨張させることで温度を下げ、ついに液化に成功しました。このプロセスは、ジュール＝トムソン効果に基づいています。さらに、ジョルジュ・クロードによって液体空気の工業的な大量生産が可能となり、それ以降の産業革命に大きく寄与しました。

用途と性質

液体空気は過去において、爆薬としての利用がありました。具体的には「液体空気爆薬」として登場したもので、刺激や摩擦、熱によって爆発が引き起こされることがあるため、その取り扱いには十分な注意が求められます。また、その性質上、液体空気の移し替えの際には、打撃や静電気による火花によても爆発の危険性があります。これらの危険性を考慮し、専門的な知識と技術を身につけた人でなければ扱うことは難しいです。

関連項目

液体空気に関連する重要な物質には、液体窒素や液体酸素があります。これらは液体空気から得られる成分であり、さまざまな産業で重要な役割を果たしています。また、固体空気という概念もあり、興味深い分野です。

液体空気は、驚異的な特性を持っているだけでなく、その利用方法においても工業、科学、医療など多岐にわたって広く応用されています。

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