深尾吉英

深尾 吉英（ふかお よしひで）は、1949年7月1日に滋賀県彦根市で生まれた、日本の元男子バレーボール選手および指導者です。

初期キャリアと選手としての台頭
バレーボールとの出会いは地元彦根市の中学校時代、中学2年生の時でした。滋賀県立彦根工業高等学校で才能を磨いた後、1968年には実業団の強豪チームである東レ九鱗会に入団しました。そこで彼は主にセンタープレーヤーとして活躍し、チームの主力選手の一人となりました。

国内リーグでの功績
東レ九鱗会の選手として、深尾氏は国内最高峰の実業団リーグで顕著な成績を収めました。そのプレーは高く評価され、複数のシーズンで個人賞を受賞しています。具体的には以下の通りです。

1971年度（第3回実業団リーグ）：殊勲賞
1972年度（第4回実業団リーグ）：ブロック賞
1973年度（第5回実業団リーグ）：ブロック賞
1974年度（第6回実業団リーグ）：敢闘賞

特にブロックにおける貢献は大きく、2年連続でブロック賞を獲得するなど、センタープレーヤーとしての守備能力の高さを示しました。

国際舞台での輝き
深尾氏のキャリアにおける最大のハイライトは、国際大会での活躍にあります。日本代表チームの一員として、彼は世界の大舞台で戦いました。

まず、世界選手権では、1970年大会と1974年大会の二度にわたり、チームの銅メダル獲得に貢献しました。世界の強豪国を相手に、日本代表はメダルを獲得する実力を示し、その中で深尾氏は中心選手として重要な役割を果たしました。

そして、彼の名前が最も知られることとなったのは、1972年に開催されたミュンヘンオリンピックです。この大会で、日本男子バレーボール代表は歴史的な快挙を成し遂げ、見事金メダルを獲得しました。深尾氏は、この「ミュンヘンの奇跡」とも称される偉業達成時の日本代表チームにおいて、欠かせないメンバーの一人でした。センタープレーヤーとして、攻撃面での決定力はもちろんのこと、特に相手の攻撃を阻むブロックや、クイック攻撃といったセンター線のプレーでチームを牽引し、勝利に大きく貢献しました。ミュンヘンオリンピックでの金メダル獲得は、日本バレーボール史における金字塔であり、その中心に深尾吉英氏の存在がありました。

指導者としての活動
現役選手としてのキャリアの晩年、深尾氏は所属チームである東レ九鱗会で、選手としてプレーを続けながらも、コーチや監督といった指導者の立場も兼任しました。選手としての経験と知識を活かし、チームの強化・育成に尽力しました。選手引退後も、その豊富な経験に基づいた指導は、後進の育成に貢献するものとなりました。

深尾吉英氏は、卓越した選手としての能力と、指導者としての視点を兼ね備え、長年にわたり日本のバレーボール界に貢献した人物です。特にミュンヘンオリンピックでの金メダル獲得は、彼の名前を日本スポーツ史に深く刻む出来事となりました。

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