深川都市ガス爆発事故

深川都市ガス爆発事故

1963年（昭和38年）1月24日、東京都江東区深川で発生した都市ガス爆発事故は、複数の爆発と火災が連鎖的に発生し、深刻な被害をもたらしました。

事故の概要

この事故は、深川地区の地下に埋設されていた都市ガス高圧導管の亀裂からガスが漏洩したことが直接的な原因です。漏れたガスは下水道を通じて広範囲に拡散し、複数の場所で爆発を引き起こしました。事故は三段階に分けて発生しました。

第一次爆発

午前6時46分頃、深川三好町4丁目で最初の爆発が発生しました。爆発と同時に火柱が上がり、隣接するそば屋を含む8棟が全半焼しました。消防隊は消火活動を行うとともに、周辺住民の避難誘導を行いました。

第二次爆発

第一次爆発から約22分後の午前7時8分頃、第一次爆発現場から少し離れた平野町3丁目で、ガスレンジが原因と思われる爆発火災が発生しました。この爆発により6棟が全半焼し、東京消防庁は現場周辺65万m2の地域に火気厳禁を呼びかけ、送電を停止するなどの厳戒態勢を敷きました。

第三次爆発

第一次爆発から2時間19分後の午前9時5分頃、第二次爆発現場と同じ地区で、事務所のストーブ点火を機に爆発が発生しました。この爆発では火災には至らなかったものの、下水道のマンホールが爆風で吹き飛ばされ、周辺の66棟が損壊、消防車を含む車両3台が損傷しました。

被害状況

この事故による被害は以下の通りです。

火災発生件数: 5件
死者: 6名
負傷者: 21名
焼失面積: 1835m2

事故原因

事故の直接的な原因は、地下に埋設されていた都市ガス高圧導管の亀裂からのガス漏洩です。漏洩したガスは下水道を通って広範囲に拡散し、複数の場所で爆発を引き起こしました。また、事故発生後、広報車やテレビ・ラジオを通じて警戒が呼びかけられましたが、広報活動が十分ではなかったとの指摘もされています。

教訓

深川都市ガス爆発事故は、都市ガス施設の管理と、事故発生時の迅速かつ適切な情報伝達の重要性を示す教訓となりました。この事故を契機に、都市ガスインフラの安全性向上と、防災体制の強化が図られることとなりました。

参考資料

『東京消防百年の歩み』東京消防百年の歩み記念行事推進委員会編集 1980年
『東京消防庁50年のあゆみ』 東京消防庁50年のあゆみ編さん委員会 1998年
* ガスもれで大火の惨事(昭和あの日のニュース公式Youtubeチャンネル 毎日ニュースno.426 )

もう一度検索