混合診療

混合診療とは

混合診療は、医療制度における一つの形態で、保険診療と自由診療が同時に行われることを指します。日本における混合診療の定義は、厚生労働省によって「一連の医療行為について、保険診療と保険外診療の併用を認めること」とされています。しかし、混合診療の具体的な実施方法や制度は国によって異なり、日本では特に厳しい規制があります。

日本における混合診療

日本の医療制度では、保険診療が行われる医療機関で自由診療を併用することは認められていません。つまり、同一の疾患に対して保険診療と自由診療を行うと、その全てが自由診療として扱われ、保険給付の対象外となります。これに対し、異なる疾患の場合は、その一連の治療と見なされず、保険診療と自由診療を同時に行うことが可能です。

具体的には、例えば入院中に骨折した場合、骨折の治療は自由診療である正常分娩とは独立した治療とされ、保険診療が適用されます。このように、保険診療と自由診療の混合を避けるための細かい規定が存在しています。

さらに、歴史的には、日本は1961年に国民健康保険法が制定され、ユニバーサルヘルスケアの基盤が築かれていきました。その後、1984年の法改正により、混合診療の禁止が法的に強化されました。2011年には、最高裁判所が混合診療に関する判決を下し、混合診療は違法であるとの判断を出しました。

世界の混合診療制度

イギリスやカナダ、日本のように混合診療を禁止している国々もあれば、オーストラリアのように規制が緩やかな国もあります。カナダでは州によって異なるものの、必須医療には保険が適用されず、非必須医療に関しては自由診療が認められています。イギリスの場合、NHS療法と併用での治療は通常禁止されていますが、特定の条件下では混合治療が許可されることがあります。

フランスやスイスでは、未承認薬に対する特別な使用制度が存在し、患者は自己責任でこうした薬を使用することができます。これにより、医療の選択肢が広がる一方で、患者の安全が懸念されることもあります。

日本と世界の制度の影響

日本の制度においては、OECDから指摘されるように、新しい医療技術や療法へのアクセスが困難であるとの問題点が存在しています。このため、国内未承認薬の使用や高度先進医療が混合診療の範疇に入ることがあり、患者は高額な自己負担を求められることになります。

また、医療の進化や患者のニーズの多様化に伴い、混合診療に関する議論は続いています。2016年には患者申出療養が解禁され、制度の見直しが進められていますが、依然として混合診療の全体像は非常に複雑です。

結論

混合診療は、患者にとって選択肢が広がる一方で、法的な制約や医療制度全体に与える影響を考えると慎重に取り扱うべき問題です。各国における混合診療制度は、それぞれ異なる背景を持っていますので、これらの動向を理解することで、将来の医療制度をより良い方向に進めるための手助けとなるでしょう。

もう一度検索