清水孝太郎

清水 孝太郎

清水 孝太郎（しみず こうたろう）氏は、1911年（明治44年）5月28日に生を受けた、日本の陸上競技選手である。専門種目はハードルであり、特に男子110メートルハードルにおいて顕著な活躍を見せた。その競技者としての経歴は、戦前日本のスポーツ界において重要な一時期に重なる。没年については残念ながら詳細が伝わっておらず、不明である。

氏の競技者としてのキャリアは、早稲田大学在学中に本格化した。早稲田大学は当時からスポーツの分野で日本の学術界を牽引する存在であり、陸上競技においても多くの優れた選手を輩出していた強豪校であった。清水氏もまた、この恵まれた環境の中で才能を開花させ、技術を磨いていった。大学の陸上部に所属し、日々の厳しい練習に励む中で、ハードル選手としての実力を着実に高めていったことが想像される。

国内における清水氏の主要な功績の一つとして、1933年（昭和8年）に開催された日本陸上競技選手権大会における男子110メートルハードルでの優勝が挙げられる。日本陸上競技選手権大会は、国内最高峰の陸上競技大会であり、この大会で優勝することは、その種目における国内第一人者であることを意味する。清水氏がこの権威ある大会で頂点に立ったという事実は、当時の日本ハードル界において彼が傑出した存在であったことの明確な証左となる。この優勝は、彼の競技キャリアにおける重要なマイルストーンであったことは間違いない。

そして、清水氏のキャリアの頂点とも言えるのが、1936年（昭和11年）にドイツのベルリンで開催された第11回オリンピック競技大会への出場である。この大会で、彼は男子110メートルハードルの日本代表として世界の強豪たちと相見（あいみ）えることとなった。オリンピックという舞台は、まさに世界最高峰のアスリートが集う場であり、そこに出場するだけでも並外れた実力と実績が必要とされる。清水氏がこの国際的な大舞台に立つことができたのは、早稲田大学で培った力と、日本選手権優勝に代表される国内での確固たる実績が評価された結果であろう。ベルリンオリンピックでの具体的な競技内容や成績については、提供された情報からは詳細を知ることはできないが、「出場した」という事実自体が、彼が当時の日本陸上界を代表するトップアスリートの一人であったことを雄弁に物語っている。

清水孝太郎氏は、早稲田大学出身のハードル選手として、1933年の日本選手権優勝、そして1936年のベルリンオリンピック出場という輝かしい実績を残した。限られた情報からその全容を把握することは難しいが、これらの事実は、彼が戦前期の日本陸上競技界において確かな足跡を残した選手であったことを示している。没年不明という点は惜しまれるが、その競技人生は、当時の日本のスポーツの発展の一端を担ったものとして記憶されるべきであろう。

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