清水展

清水 展の概要

清水 展（しみず ひろむ）は、1951年生まれの日本の文化人類学者であり、主にフィリピンを対象にした社会研究で著名です。彼は神奈川県横須賀市に生まれ、関東学院六浦高等学校を経て東京大学教養学部で文化人類学を学びました。1979年に同大学の博士課程を中退し、その後は助手を務めながら研究活動を続けました。

学歴と職歴

東京大学を卒業後、清水氏は1980年に東洋文化研究所の助手に任命され、その後1985年には九州大学教養部の助教授として教壇に立ちました。1987年には「変化と持続 ピナトゥボ・アエタ社会における出来事の受容をめぐって」を著し、ここで東京大学より社会学博士の学位を取得します。その後1994年には九州大学比較社会文化研究院の教授に就任し、2006年には京都大学東南アジア地域研究研究所の教授に就任しました。

清水氏は、文化人類学の研究を通じて、特にフィリピン社会の変遷に着目し、災害や復興、文化の持続可能性について多くの論考を発表しています。2016年には日本文化人類学会賞、2017年には『草の根グローバリゼーション』により日本学士院賞を受賞するなど、その業績は高く評価されています。

主な著作

清水展の著作には、彼の研究テーマが色濃く反映されています。例えば、1990年に発表した『出来事の民族誌 フィリピン・ネグリート社会の変化と持続』は、フィリピンのネグリート社会における文化的な変化とその持続性に焦点を当てています。また、1991年の『文化のなかの政治 フィリピン「二月革命」の物語』では、政治的変革と文化の関係を探る一助となっています。

2003年の『噴火のこだま ピナトゥボ・アエタの被災と新生をめぐる文化・開発・NGO』では、1991年のピナトゥボ火山噴火がアエタ民族に与えた影響を、文化的視点から詳細に論じています。さらに、2013年に出版された『草の根グローバリゼーション 世界遺産棚田村の文化実践と生活戦略』は、グローバリゼーションが地域文化に与える影響を掘り下げています。

加えて、清水氏は、国際的な視点からフィリピン社会の現状を議論するために、英語論文も執筆しています。共著として2015年に出版した『新しい人間、新しい社会 復興の物語を再創造する』は、災害対応の地域研究における新たなアプローチを提示しています。

翻訳と論文

さらに、清水氏は翻訳活動も行い、フィリピンの民衆運動に関する書籍を翻訳して広く一般に知られるよう努めています。例えば、レイナルド・C.イレートの著作を翻訳したことで、フィリピンの文化と歴史を日本の読者にも届けています。

清水展の研究は、文化人類学的な視点から社会の変革とその持続性を探求し続けており、その成果は多岐にわたる意味を持つでしょう。今後も彼の研究がどのように発展していくのか、注目が集まります。

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