清水薫

清水 薫

満田拓也による人気漫画作品『MAJOR』において、物語のヒロインとして登場し、後に主人公・茂野吾郎の生涯の伴侶となる女性、清水 薫（しみず かおる）。結婚後は茂野 薫（しげの かおる）として、二人の子供の母親となる。アニメ版では、声優の笹本優子が彼女に命を吹き込んでいる。

人物像

普段は非常に負けん気が強く、率直で荒っぽい言葉遣いが目立つ男勝りな性格だが、その内面は非常に繊細で純情である。幼少期は運動があまり得意ではなかったものの、リトルリーグでの野球経験を機に運動能力を開花させ、中学校から大学にかけてはソフトボール一筋で打ち込んだ。彼女の二人称は基本的に「お前」や「あんた」だが、目上の人物に対しては丁寧な言葉遣いを心がけており、吾郎のように敬語を滅多に使わない人物とは対照的である。

小学生の頃、吾郎と出会って以来、彼に対して一途な好意を抱き続けていた。その想いは非常に強く、時には強気な性格が原因で吾郎と衝突することもあった。吾郎が突然福岡へ転校した際には大きなショックを受け、部屋に閉じこもって泣き明かしたことも。また、彼が野球の名門・海堂高校に進学すると聞いた際には、自身の進路を曲げてでも同じ高校への進学を目指すほど、彼の存在は彼女にとって大きなものだった。

彼女はまた、芯が強く頼りがいのある存在としても描かれている。吾郎が困難に直面し落ち込んだ時には、力強い励ましの言葉を投げかけた。リトルリーグ時代にいじめられていた小森を庇ったり、W杯時には佐藤寿也とその妹・美穂の関係を取り持つなど、周囲の人々を支える場面もたびたび見られた。

吾郎の姓が茂野に変わった後も、恋人関係になってからも、長らく彼のことを「本田」と旧姓で呼び続けたが、結婚してからは「吾郎」と呼ぶようになった。長女・泉を出産し母親になってからは、彼を「おとさん」と呼ぶようになる。母親としての役割を担うようになってからは、学生時代の荒々しい言動は落ち着きを見せ、かつての男勝りな雰囲気は鳴りを潜めた。高校時代のチームメイトであった田代や藤井に対しても、呼び捨てから「君」付けへと呼び方が変化している。

子供たち、特に長男の大吾に対しては、彼が経験する挫折や内向的で傷つきやすい性格に悩みつつも、その成長を温かく見守っている。一方、自分と似た勝気な性格を持つ長女の泉に対しては、比較的スムーズに対応できている様子が描かれている。

彼女のプロフィールとしては、12月10日生まれのO型。身長164cm、体重49kg。プレイヤーとしては右投右打で、リトルリーグ時代は右翼手や捕手（一時的）、中学・高校ではソフトボールの投手、大学では二塁手を務めた。

来歴

『MAJOR』

リトルリーグ編
小学4年生で吾郎と同級生になった当初は、学級委員長としての責任感から彼と対立することもあった。しかし、小森と沢村の間のトラブルを共に解決に導いたことを通じ、吾郎の野球に対する情熱に触れて心を動かされ、三船リトルに入団し野球を始める。最初は全くの初心者で、キャッチボールすらままならなかったが、吾郎の協力もあって次第に上達していった。この経験が、吾郎を異性として意識するきっかけとなる。小森が負傷した際には自ら捕手を志願し、わずか一週間で吾郎の剛速球を受け止められるようになるなど、驚異的な適応力を見せた。

三船東中学校編
三船東中学校ではソフトボール部のキャプテンを務める。吾郎が何も言わずに福岡へ転校したことに心を痛めていたが、帰郷した彼が野球への情熱を失っていないことを知り、再び彼を理解し支える立場となる。アニメ版では、自分の怪我で野球を恨む山根を一喝し、吾郎たちの復帰を後押しする場面もあった。野球部が再始動してからは、試合の際に一日マネージャーを務めるなど、積極的に彼らを応援した。高校受験では、吾郎と同じ海堂高校を目指し、難関とされる普通科に猛勉強の末合格する。しかし、ソフトボール部がないことを知り、吾郎の助言もあって海堂への進学を断念し、聖秀学院高校へ進むことを決めた。

聖秀学院高校編
聖秀学院高校ではソフトボール部のエースとして活躍する。2年生の時、「打倒・海堂」を目指して聖秀に編入してきた吾郎と運命的な再会を果たす。ソフトボールに専念しようと思いながらも、抑えきれない吾郎への恋心に戸惑う日々を送る。吾郎が野球部を新設するために行った練習試合では、捕手として彼の豪速球を受け止め、また、横浜リトル・シニアでレギュラーだった実弟・大河を野球部に入部させるなど、陰ながら吾郎を支え、彼の苦闘を見守り続けた。高校卒業後は杏和女子学院大学に進学する。

W杯編
大学でもソフトボールを続けていた。日本に一時帰国した吾郎から初デートで告白され、長年吾郎を見守り続けた想いが実り、二人は交際関係となる。その後、大学の春休みを利用して、W杯日本代表に選ばれた吾郎を応援するためアメリカへ渡る。現地で佐藤寿也の生き別れの妹である美穂と出会い、佐藤兄妹が再会するための重要な橋渡し役を務めた。

メジャーリーグ編
吾郎がメジャーリーグで活躍する姿を再び見たい一心で、ソフトボール部の練習を休んでまで渡米費用を稼ぐアルバイトに打ち込むが、練習に遅刻したことで先輩から厳しい言葉を受け、ソフトボールへの向き合い方に悩む。アルバイトも中途半端に終わり解雇され、父親からも叱責されたことで一時退部を考えるが、沢村や小森といった周囲の人々の支えによって、改めてソフトボールに真剣に取り組むことを決意する。吾郎がメジャー昇格を果たし、所属チームが地区優勝を決める試合を、日本からテレビを通じて熱心に応援した。

吾郎がメジャー2年目を終えて帰国した際、彼の身の回りの世話をしていたソフィアとの関係を誤解してしまう。さらに、ソフィアから「メジャーリーガーの妻になる覚悟」を問われ、将来について躊躇するが、偶然再会した吾郎に葛藤を打ち明けた際、「お前の人生だ。俺を支えなきゃなんて気負う必要はない」という温かい言葉をかけられる。その直後、「お前のペースでいい。いつか本当にそれでもいいと思えた時、生涯、俺とバッテリーを組んでくれ」という吾郎からのプロポーズを受け入れ、二人は初めてキスを交わし、結婚を約束する。

数年後、吾郎と結婚し、茂野 薫となる。ワールドシリーズ戦の時点で第一子を妊娠しており、臨月を迎えていたが、テレビ中継で吾郎が頭部に打球を受け意識を失う瞬間を目にし、大きな衝撃を受ける。その翌朝、陣痛に見舞われ病院へ運ばれる。ホーネッツがワールドシリーズ優勝を決めた直後に長女・泉を出産し、母親となった。

日本プロ野球編
長男・大吾も出産し、二児の母となるが、吾郎の肩の故障によるメジャー引退に伴い、一家で日本へ帰国する。吾郎が野手として現役を続けることを決意した際、子供たちには時期が来るまで真実を明かさないでほしいと頼まれ、誰よりも吾郎の心情を理解し支えた。一方で、「父親の本当の姿を知らない子供たちの気持ちも考えてほしい」と、時には吾郎を厳しく叱ることもあった。OVA版『メッセージ』では、吾郎が幼い頃に同じような経験をした継母の桃子に当時の話を聞き、吾郎と泉を信じて見守る覚悟を決めた。

『MAJOR 2nd』

小学生編
吾郎が野球指導のため台湾へ渡っている間、専業主婦として泉と大吾の世話を一手に引き受ける。野球選手の息子であることへのコンプレックスから野球から離れ、打ち込めるものが見つからない大吾の現状を心配していた。しかし、大吾自身の内面を完全に理解できず、よかれと思ってかけた言葉が裏目に出てしまうなど、不器用な母親として描かれる場面が多かった。

光の言葉に触発され、見返したい一心で再び野球に向き合うことを決めた大吾の姿を見た後は、「吾郎は吾郎、大吾は大吾だから」と、彼なりのペースで成長を見守る姿勢へと変化する。不器用ながらも精神的な支えとなり、キャッチボールやノックの練習に付き合った。また、吾郎を通じて佐藤寿也に大吾の捕手としての指導を依頼するなど、母親として真正面から大吾と向き合うようになる。

中学生編
丹波以外の先輩部員が集団万引き事件（アニメ版）に関与して強制退部となり、部員不足となった風林中学野球部で主将を務めることになった大吾の、小学生の頃より自立した考え方や成長ぶりを認めている。主将としての重圧から体調を崩した際には、吾郎と共に病院への送り迎えや精神的なケアを行った。一方で、合宿へ出発する大吾に寂しさから抱きついた際に、彼にボディーブローで突っ込まれるなど、コミカルな母親としての描写も見られるようになった。

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