済衆院 (小説)

済衆院 (チェジュンウォン)

『済衆院』は、韓国の作家イ・ギウォンによって2009年に発表された小説であり、後にテレビドラマ化もされた作品です。物語の舞台は、激動の旧韓末期。当時の最下層の身分であった白丁出身の主人公、ファン・ジョンが、数々の困難を乗り越えながら済衆院で西洋医学を学び、やがて医師として成長していく姿を描いています。主人公のモデルとなったのは、実際に白丁出身でありながら済衆院を卒業し、朝鮮半島における西洋医学の先駆者の一人となった朴瑞陽です。

成立と背景

イ・ギウォンは、2007年にドラマ『白い巨塔』の脚本を担当した際、医学について深く学ぶ機会を得ました。その過程で済衆院や朴瑞陽の存在を知り、感銘を受けたことが本作執筆のきっかけとなりました。イ・ギウォンは、小説と脚本の両方を同時並行で制作することを当初から念頭に置いていました。まず小説の草稿を書き上げ、その後、脚本を執筆する中で生まれた新たなアイデアを小説に反映させたり、逆に小説のエピソードを脚本に取り入れたりと、双方の原稿を「追加補完」していく手法で完成度を高めていきました。完成までには約2年の歳月を要したと、2012年のインタビューで語られています。

テレビドラマ

2010年1月から5月にかけて、SBSの月火ドラマ枠で全36話が放送されました。ドラマ制作にあたっては、延世大学校セブランス病院が協力し、同大学教授で当時トンウン医学博物館館長を務めていた朴瀅雨がアドバイザーとして参加しました。放送期間中、同時間帯に放送されたライバル番組の影響で視聴率は10%台に留まりましたが、作品自体の完成度を高く評価する声が、脚本家のキム・スヒョンをはじめ、多くの方面から寄せられました。また、異例なことに、放送期間中にイ・ギウォンや演出家、ヒロイン役の女優から「視聴率に一喜一憂しない」という声明が発表されました。

キャスティング

キャスティングは、監督や原作者、脚本家などのスタッフ陣が各役ごとに候補となる俳優をリストアップし、スケジュールなどを考慮した上でオファーするという形で行われました。ペク・トヤン役には、イ・ギウォンが過去に『白い巨塔』で主演を務めた俳優に、同作での役割を再現してほしいと直接依頼しました。また、ユ・ソンナン役には、監督が「ソンナンにぴったりだ」と評した女優がキャスティングされました。ファン・ジョン役には、俳優本人が企画を知り、自ら出演を希望したそうです。

オ・チュンファン役の俳優については、過去の政治的な活動を理由に出演が危ぶまれる事態となりましたが、監督が局と交渉し、最終的には出演が実現しました。

音楽

韓国版サウンドトラックCDが発売されています。

反響と評価

初回視聴率は同時間帯1位を記録したものの、その後はライバル番組に追い抜かれ、低迷しました。しかし、作品そのものに対する評価は高く、メディアからはストーリーや俳優陣の演技を評価する声が上がりました。脚本家のキム・スヒョンも、自身のSNSで本作を賞賛し、視聴率の低さを疑問視するコメントを発表しました。最終的に視聴率は回復しませんでしたが、放送終了後も、作品の真情性を評価する意見が寄せられました。

受賞歴

2010年度SBS演技大賞では、ヒロイン役の女優がプロデューサー賞を受賞しました。

海外での放送

日本、香港、タイなど、アジア各国でも放送されました。

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