渡辺すみ子

渡辺すみ子（1916-2010）

渡辺すみ子（わたなべ すみこ）は、陸上競技の選手及び指導者として日本のスポーツ界に多大な貢献をした人物です。1916年11月28日に愛知県名古屋市で生まれた彼女は、若い頃から陸上競技に親しみ、特に短距離競技で目覚ましい才能を発揮しました。

陸上競技のキャリアの始まり

名古屋高等女学校に在籍していた1930年、すみ子はチェコスロヴァキアのプラハで開催された第3回女子国際競技大会に参加し、国際舞台への第一歩を踏み出しました。1931年から1933年までの3年間に渡り、日本陸上競技選手権大会の女子100mで連続優勝を果たし、特に1932年の大会では12秒2というタイムで当時の日本記録を樹立しました。

オリンピックへの道

1932年には、ロサンゼルスオリンピックに出場しました。当時15歳という若さでのオリンピック出場は、彼女を日本陸上競技の最年少代表選手として記憶に刻みました。本大会では、女子100mで準決勝進出を果たし、女子4×100mリレーでは5位入賞という素晴らしい成果を残しました。この記録は、80年以上にわたり破られることなく、渡辺の名を後世に伝えるものとなっています。

結婚と教育者としての活動

ロサンゼルスオリンピックの後、渡辺は梅村学園の2代校主である梅村淸明と結婚し、以降は梅村すみ子として知られるようになりました。結婚後は家庭を支えつつ、梅村学園において教育及び陸上競技の指導に力を注ぎました。さらに、第二次世界大戦中に夫が出征し不在の際には、学校法人梅村学園の園長代理を務め、その経営に貢献しました。

中京大学での業績

戦後、彼女は中京大学の体育学部の教授として教鞭を執り、陸上競技を専門に指導しました。また、中京大学陸上競技部女子部の初代部長としても活躍し、1964年の東京オリンピックでは女子チームの強化コーチを担当しました。彼女の指導により多くの選手が育成され、陸上競技界に新しい風をもたらしました。

晩年とその影響

渡辺すみ子は、2010年11月2日に老衰により93歳で亡くなりました。その長い人生は、日本陸上競技界における様々な歴史的瞬間と重なり、多くの人々に影響を与え続けることとなりました。彼女の業績は後世にも語り継がれ、陸上競技を愛する人々にとっての偉大な模範であり続けています。

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