渡辺たをり

渡辺たをり：谷崎潤一郎との繋がりと、多彩な人生

渡辺たをり氏は1953年生まれの日本の随筆家で、その人生は著名な文豪、谷崎潤一郎と深く繋がっています。たをり氏の家系は、芸術と文化に彩られた歴史を持つ名家です。父方の祖父は、谷崎潤一郎の最初の妻である松子の最初の夫、根津清太郎の長男であり、母方の祖母は日本画家・橋本関雪の孫娘で、谷崎潤一郎の小説『瘋癲老人日記』に登場する颯子のモデルとなった人物です。さらに、たをり氏の母方の叔母は、旧津山藩主松平家の血を引く渡辺明と結婚しています。このように、たをり氏の家系は、日本文化史における重要な人物たちと複雑に絡み合っています。

たをり氏自身も、幼少期から谷崎潤一郎に可愛がられ、その影響を強く受けて育ちました。たをり氏の名付け親は、谷崎潤一郎です。「たをり」という名前は、漢字で「撓」と書くものの、当用漢字ではないため平仮名で表記されています。

教育面では、日本大学芸術学部放送学科を卒業後、同大学大学院芸術学研究科修士課程を修了しています。その後は紀伊国屋書店に勤務しながら、執筆活動に励みました。たをり氏の代表作は、1980年に刊行された『祖父 谷崎潤一郎』です。この作品は、1956年から1964年にかけて谷崎潤一郎がたをり氏の母にあてた200通以上の書簡を軸に構成されており、祖父との思い出や、その時代の文化、そして谷崎潤一郎の人物像を深く掘り下げています。

その後も、たをり氏は『花は桜、魚は鯛 祖父谷崎潤一郎の思い出』（旧題「― 谷崎潤一郎の食と美」）など、谷崎潤一郎を題材とした作品を発表し続けています。これらの著作は、単なる伝記にとどまらず、たをり氏自身の視点を通して、谷崎潤一郎とその時代、そして家族の物語を鮮やかに描き出しています。

たをり氏の私生活では、演劇評論家で東京芸術劇場副館長を務める高萩宏氏と結婚しています。

渡辺たをり氏の作品は、谷崎潤一郎という偉大な作家への理解を深めるだけでなく、激動の時代を生き抜いた一族の物語、そしてたをり氏自身の豊かな人生経験を感じさせる、奥深い魅力に満ちたものです。たをり氏の著作を通して、私たちは谷崎潤一郎という人物、そしてその時代背景、そして文化に対する新たな視点を獲得することができるでしょう。たをり氏の今後の活動にも、注目が集まります。

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