渡辺一馬

渡辺 一馬

オートバイレーサー。1990年5月6日生まれ、栃木県鹿沼市出身。

経歴

幼い頃からオートバイレースの世界に足を踏み入れ、その才能を開花させていった。5歳の誕生日にポケバイを与えられ、6歳で初めてのレースに挑戦。9歳になる頃には各地で開催されるミニバイクレースで優れた成績を収めるようになり、将来を嘱望される存在となった。

ロードレースへの転向は2004年、14歳の時だった。この年、ロードレースGP125クラスにデビューすると、早くも頭角を現し、国内ロードレースの登竜門とされる筑波ロードレース選手権シリーズで初参戦ながらチャンピオンに輝いた。翌2005年には全日本ロードレース選手権へスポット参戦を果たし、さらに高いレベルでの経験を積んだ。

2006年からは全日本ロードレース選手権に本格的にフル参戦を開始。同年には、日本で開催されたWGP（現在のMotoGP）の栃木県もてぎラウンドにおいて、フル参戦チームであったhuman gest RacingTeamから代役として参戦する機会を得た。このスポット参戦で国際的な舞台でもその実力が認められ、MotoGPシーズンの終盤3レースに急遽出場。欧州での世界選手権デビューを果たすこととなった。

2009年には、当時全日本選手権の中でも最も競争が激しいと言われたST600クラスへとステップアップ。この新たな挑戦の年にも目覚ましい活躍を見せ、ルーキーオブザイヤーを獲得した。

2011年に、Honda系トップチームであるKohara Racingへと移籍。チームの強力なサポートを得て、着実に成績を積み重ねていった。そして2013年、長年の努力が実を結び、全日本ロードレース選手権ST600クラスで自身初となる全日本チャンピオンのタイトルを獲得した。

その後、2014年にはJ-GP2クラスへ、そして2015年には全日本ロードレース選手権の最高峰クラスであるJSB1000へと挑戦の場を移した。様々なクラスでの経験は、ライダーとしての幅を広げることに繋がった。

2016年にはF.C.C. TSR Honda Franceへと移籍し、世界耐久選手権シリーズという新たなフィールドに挑んだ。このシリーズでは、初参戦となった伝統のル・マン24時間耐久ロードレースで3位表彰台を獲得するなど、チーム内で唯一フル参戦を果たし、世界を舞台にした耐久レースでの貴重な経験を重ねた。

2017年にはKawasakiのトップチームであるKawasaki Team GREENへ移籍。強力なチーム体制の下、移籍2戦目にしてJSB1000クラスで3位入賞を果たすなど、コンスタントに上位争いに加わり、シリーズランキング3位を獲得。また、夏の祭典である鈴鹿8時間耐久ロードレースでは2位表彰台に登壇した。

2018年には、ついに自身の全日本ロードレース選手権JSB1000クラスでの初優勝を達成。この勝利は、所属するカワサキにとって全日本ロードレース選手権において11年ぶりとなる記念すべき勝利でもあった。この年もランキング3位を維持し、鈴鹿8耐でも3位表彰台を獲得し、2年連続での表彰台登壇を果たした。

2020年には、自身が師と仰ぐ伊藤真一氏が監督を務める新しいチーム、Keihin Honda Dream SIRacingへと移籍。チーム母体は以前所属していたKohara Racingと旧知のメンバーを中心に構成されており、再びHondaのマシンを駆りJSB1000クラスに参戦。シーズンを通して安定した走りを見せ、ランキング5位となった。

2021年、チーム母体はそのままに、チーム名称をAstemo Honda Dream SIRacingへと変更。この年はクラスをST1000へスイッチした。新たなクラスでの挑戦であったが、シーズン中に2勝を挙げるなど圧倒的な速さを見せ、この年自身2度目となる全日本ロードレース選手権のチャンピオンを獲得した。これにより、異なるクラスで全日本タイトルを獲得するという快挙を成し遂げた。

多様なクラスでの経験と、国内外のレースで培った高いスキルを持つ実力派ライダーである。

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