渡辺弥栄司

渡辺弥栄司：通産官僚から公益法人理事長、そして晩年の騒動

渡辺弥栄司（わたなべ やえじ）は、1917年1月20日に生まれ、2011年に94歳で亡くなった人物です。彼は、元通商産業省（現経済産業省）の官僚であり、弁護士としても活動しました。退官後は、日中経済協会、国際ビジネスコミュニケーション協会（IIBC）、ビューティフルエージング協会（BAA）の設立に深く関わり、通産省に関連する多くの公益法人の理事などを務めました。しかし、2009年に財団私物化疑惑が週刊誌で報道され、92歳という高齢で理事長などの要職から退くこととなりました。

生い立ちと官僚としてのキャリア

1917年、新潟県北蒲原郡中条町で10人兄弟姉妹の5番目として生まれた渡辺弥栄司は、新発田の中学、姫路高等学校 (旧制)を経て、1939年に東京帝国大学法学部法律学科を卒業しました。同年、商工省（現・経済産業省）に入省し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。同期には、山本重信（通産事務次官）、柿坪精吾、生駒勇らがいました。戦時中は海軍で軍属として勤務し、戦後は通産省で佐橋滋事務次官のもとで官房長を務めました。

日中関係への貢献とTOEIC事業への関与

1964年には、蘭の花会議出席の名目で来日した孫平化と面会し、日中間の経済交流の促進に貢献しました。1965年には貿易振興局長、通商局長を歴任しましたが、大臣との衝突により49歳で通産省を退官し、日本貿易振興機構（JETRO）パリ事務所の所長となりました。1972年には、岡崎嘉平太らとともに日中経済協会を設立し、理事長に就任しました。

また、渡辺は英語検定試験TOEIC事業の設立にも深く関与しました。北岡靖男からの依頼を受け、通産省に太いパイプを持つ渡辺は、元通産官僚や財界人を集めて1979年にTOEIC運営委員会を設立しました。渡辺は自著で、当時教育産業への参入規制が厳しかったため、通産省を巻き込むことで事業を推進したと述べています。1986年には、国際ビジネスコミュニケーション協会が通産省の認可を受け、渡辺は理事長（会長）に就任しました。

晩年の疑惑と関連団体

1983年には、渡辺弥栄司法律特許事務所を開業し、1990年にはビューティフルエージング協会を設立するなど、多岐にわたる活動を展開しました。しかし、2009年に週刊誌で女性漢詩朗詠家との親密交際や財団の不正経理疑惑などが報じられ、国際ビジネスコミュニケーション協会の関連企業の所得隠しなども発覚しました。経済産業省の立入検査を受け、会長職を辞任することとなりました。

渡辺弥栄司は、アジア経済研究所監事、世界経済情報サービス理事、日中経済協会理事、貿易研修センター理事、国際ビジネスコミュニケーション協会会長、ビューティフルエージング協会会長、日本システム開発研究所理事、日本ゴルフ場事業協会理事長、日本知的財産翻訳協会理事、ルネ・ソサエティ会長など、多くの団体に関わっていました。

家族と著書

弟には、元トウペ会長の渡邉謙輔がいます。著書には、『125歳まで生きる』があります。

渡辺弥栄司の生涯は、戦後の日本経済の発展に貢献した一方で、晩年の不祥事によってその評価が分かれるものとなりました。

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