渡辺正和

渡辺正和：投手から指導者へ

渡辺正和氏は、1966年生まれの佐賀県佐賀市出身の元プロ野球選手（投手）であり、現在は福岡大学スポーツ科学部講師として活躍しています。佐賀西高校時代はエースとして活躍しましたが、甲子園出場は叶いませんでした。しかし、筑波大学に進学すると、1987年秋季リーグでは5勝を挙げ、チームの初優勝に大きく貢献。MVPと最優秀投手賞を受賞するなど、大学時代は輝かしい実績を残しました。明治神宮野球大会でも優勝を経験し、日米大学野球選手権大会日本代表にも選出されています。

大学卒業後は東京ガスでプレーした後、1992年のドラフト会議で福岡ダイエーホークスに5位指名されプロ入りを果たします。プロ入り当初は先発として起用されましたが、思うような結果を残せず、その後は中継ぎとして長くチームに貢献しました。幾度となく戦力外通告の噂が囁かれる中、1999年にはチームの意向で残留が決定します。

そして34歳となった2000年、リリーフとして覚醒。60試合に登板し、防御率2.54という好成績を残し、リーグ優勝に大きく貢献しました。当時39歳だった長冨浩志選手とともに「中年の星」として注目を浴び、「ナベじい」の愛称で親しまれました。日本シリーズでも活躍するなど、ベテランとしてチームを支えました。2001年から2003年まで、3年間で151試合に登板し、ホークスの「勝利の方程式」の一角として活躍しました。しかし、2003年オフ、戦力外通告を受け、現役を引退します。

引退後は、プロ野球マスターズリーグの福岡ドンタクズに入団。野球解説者として活動する傍ら、教職免許取得を目指して福岡大学大学院に入学しました。2006年に教員免許を取得し、2007年に大学院修士課程を修了。同年4月より福岡大学スポーツ科学部講師に就任し、バイオメカニクスを専門に後進の指導にあたりました。

福岡大学野球部では投手コーチを務め、川頭秀人選手や白仁田寛和選手といったプロ野球選手を育成しました。2008年には助手室長、2011年には専任講師に昇格。2015年には野球部監督に就任しましたが、2019年に監督を退任し、現在は野球部副部長として大学野球界に貢献しています。

選手としては、左のスリークォーターから投げる、コントロール抜群のスライダーと落差のあるスクリューが武器でした。眼鏡がトレードマークで、先輩からは「ナベじい」、後輩からは「じいさん」と慕われるなど、温厚な人柄で知られていました。

幼少期に父親を亡くし、厳格な母親に育てられた渡辺氏は、佐賀西高校、筑波大学への進学、そしてプロ野球への入団と、常に堅実な道を歩んできました。その背景には、母親の強い希望があったと言われています。プロ入り当初は、プロ野球選手になることに消極的だったというエピソードも残されています。

投手として、そして指導者として、野球界に多大な貢献をした渡辺正和氏の今後の活躍にも期待がかかります。

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