渡辺清彦 (植物学者)

渡辺清彦（わたなべ きよひこ）

渡辺清彦は、1900年4月5日に生まれ、2000年2月7日に没した日本の植物学者です。静岡県森町出身で、小学校長の父のもとで育ちました。旧制掛川中学校、第八高等学校を経て、東京帝国大学植物学科に進学し、植物学の道を志しました。

学歴と職歴

東京帝国大学卒業後、新設された旧制広島高等学校の教授に就任しました。1941年には、第二次世界大戦中に日本が占領したマレーシアのペナン植物園に、陸軍司政官として派遣され、園長を務めました。戦後は静岡大学を経て、千葉大学の教授として教鞭をとり、定年まで勤務しました。また、和洋女子大学でも教授を務め、後進の育成に尽力しました。

ペナン植物園での活動

1942年から1945年の間、渡辺清彦はペナン植物園の園長として、熱帯植物の研究に没頭しました。この期間中に、2200枚にも及ぶ植物の精密な図を書き溜めました。これらの図は、後にE・J・H・コーナー（E. J. H. Corner; 『思い出の昭南博物館』の著者）らによって解説が加えられ、『図説　熱帯植物集成』として出版されました。この図鑑は、熱帯植物の研究において重要な資料となっています。

研究業績と献名

渡辺清彦は、長年にわたり植物分類学の研究に取り組み、多くの著作を世に送り出しました。特に、熱帯植物に関する研究は、その後の研究に大きな影響を与えました。彼の業績を称え、サトイモ科の植物である Typhonium watanabei J.Murata, Sookch. & Hett. に献名されています。この献名は、彼の植物学への貢献を永く記憶に留めるものです。

著作

渡辺清彦は、多くの著作を出版しており、その中でも主要なものを以下に示します。

『南方圏有用植物圖説 第壹編藥用植物』（馬來軍政監部、1944年）
『南方圏有用植物圖説 第貮編食用植物』（昭南植物園、1945年）
『植物分類学〈種子植物〉』(1966年)
『図説熱帯植物集成』(英: Illustrated Guide to Tropical Plants) E. J. H. Cornerと共著 (廣川書店、1969年)
『図集熱帯圏と南半球の種子植物』(1981年)
『図説熱帯植物集成』(1983年)

これらの著作は、植物学の研究者だけでなく、植物に関心のある一般の人々にとっても貴重な資料となっています。特に『図説熱帯植物集成』は、詳細な植物図と解説で、熱帯植物の理解を深める上で重要な役割を果たしました。彼の著作は、現在でも多くの人に参照され、植物学の発展に貢献し続けています。

渡辺清彦は、その生涯を通じて植物学の発展に尽力し、多くの後進を育てました。彼の研究業績と情熱は、今後も長く語り継がれるでしょう。

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