渡辺輝雄

渡辺 輝雄（わたなべ てるお）について

渡辺輝雄は、1913年10月16日に生まれ、1998年12月8日に亡くなった日本の著名な経済学者です。彼は特にフランソワ・ケネーによる初期経済学説の研究において高い評価を受けています。どのようにして彼が日本の経済学界に名を馳せるようになったのか、その研究や功績について詳しく見ていきたいと思います。

略歴

渡辺は大倉高等商業学校、現在の東京経済大学に学び、1934年に卒業後、神戸商業大学に進学しました。1937年に同大学を卒業すると、母校である大倉高商の専任講師となり、1939年には教授に昇進しました。早くから大学の昇格を唱え、戦後の大学昇格運動でも中心的な役割を果たしました。

1949年、新制大学の東京経済大学が発足し、彼は経済原理と経済学史を担当する教授として迎えられました。大学の草創期においては、妻とともに大学内の寮に住んでいましたが、1952年には左翼思想の排除をもくろんだ理事会の決定により突然解職されるという事態が発生しました。この混乱に対して、渡辺は同様に解職された他の非常勤講師たちと共に提訴を行い、学生たちが抗議運動を始めたことで、事態は大きく動きました。当時、一橋大学の経済学部で教授を務めていた山田雄三の調停により、解職は取り消されました。

1962年には、『創設者の経済学』という著作により、京都大学から経済学博士号を授与されました。渡辺は日本におけるケネー研究の第一人者として認識されています。彼は多くの役職をこなし、経済学部長、図書館長などを歴任した後、1976年から1984年まで学長を務めました。学長退任後も名誉教授として大学に関わり続けました。

おもな業績

渡辺の主要な業績は、彼の死後に編集された『渡辺輝雄経済学史著作集』（全3巻）にまとめられています。これらの著作集は、2000年に鈴木信雄の手により、経済学の研究と共に彼の業績が整理されました。著作集第1巻は『創設者の経済学 : ペティー、カンティロン、ケネー研究』、第2巻と第3巻は『ケネー経済学研究 1、2』というタイトルで出版されています。

また、彼は1961年に『創設者の経済学 : ペティー、カンティロン、ケネー研究』を発表し、1974年には坂田太郎との共編で「わが国における重農主義研究文献目録」を発表しました。さらに、1948年にはジェームズ・ミルの『経済学綱要』を翻訳しており、これらすべてが彼の経済学に対する貢献を示しています。

渡辺の研究は、日本の経済学界において重要な位置を占めており、彼の業績は今なお学ばれています。彼の残した研究は、経済学の基礎を築くだけでなく、後世の研究者たちに多くの示唆を与え続けています。

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