渡邉康雄
渡邊 康雄は、1949年1月24日に東京都で生まれた日本の音楽家です。ピアニストおよび指揮者として幅広く活動しており、その背景には著名な音楽家や政治家を輩出した家系があります。祖父に元内閣総理大臣の鳩山一郎、父に高名な指揮者である渡邉暁雄を持ち、弟の渡邉規久雄もピアニストとして活躍しています。また、従兄弟には政治家の鳩山由紀夫、鳩山邦夫がいます。
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校で作曲を学んだ後、18歳で渡米。ボストンのニューイングランド音楽院とニューヨークのジュリアード音楽院という、名門音楽教育機関で約8年間にわたり専門的な研鑽を積みました。ピアノをセオドア・レトヴィンとサッシャ・ゴルトニツキーに師事し、深い音楽性を培いました。
1972年、父・渡邉暁雄が指揮を務める東京フィルハーモニー交響楽団との共演で、ピアニストとしてデビューを飾りました。演奏されたのはブラームスのピアノ協奏曲第2番でした。以後、NHK交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、広島交響楽団といった国内主要オーケストラに加え、ヘルシンキ放送交響楽団など海外のオーケストラとも多数共演しています。そのレパートリーは非常に幅広く、ベートーヴェンの全5曲のピアノ協奏曲、チャイコフスキーのピアノ協奏曲、ラヴェルの二つのピアノ協奏曲など、40曲以上の協奏曲を演奏しています。
指揮者としての活動は、1982年に父・暁雄が育成に力を注いだ徳島交響楽団を指揮したことから始まりました。その後、愛媛交響楽団、山形フィルハーモニー交響楽団、神戸室内合奏団などでも経験を積み、1992年には東京のサントリーホールで日本フィルハーモニー交響楽団を指揮し、プロ指揮者としての正式なデビュー公演を成功させました。以降も、東京都交響楽団、京都市交響楽団、九州交響楽団、群馬交響楽団など、多くのオーケストラを指揮しています。
渡邊康雄は、自身でピアノを演奏しながらオーケストラを指揮する「弾き振り」というスタイルにも積極的に取り組んでいます。弾き振りを行う際には、オーケストラの奏者たちとの間のコミュニケーションを重視するため、あえてピアノの蓋を取り外すことがあります。彼は、通常のピアノ演奏と弾き振りでは感覚が異なると語っており、特にモーツァルトのピアノ協奏曲におけるエドウィン・フィッシャー校訂版について、通常演奏時には独特の指使いに感じられるものが、弾き振りの際には非常に理にかなっていると述べています。こまやかな配慮が行き届くという理由から、モーツァルトやベートーヴェンのピアノ協奏曲は弾き振りに適していると感じており、2019年3月にはオーケストラ・アンサンブル・金沢と共演し、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番と第5番を弾き振りで演奏しました。この演奏はCDとしてもリリースされています。
ピアニスト、指揮者として父・渡邉暁雄の影響を強く受けており、父との共演経験もあります。2019年には、父の生誕100周年を記念して開催された日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会にピアニストとして出演しました。ガーシュウィンのピアノ協奏曲第3楽章を担当し、第1楽章は寺田悦子、第2楽章は弟の渡邉規久雄が演奏、指揮は父の教え子である藤岡幸夫が務めるという、渡邉家ゆかりの音楽家が集まるコンサートとなりました。この記念すべき演奏会には、学生時代から渡邉家と親交のある上皇上皇后両陛下（当時）も臨席されています。父の生誕100周年という節目に際し、「ようやく父の呪縛が解けた気がする」と心境を語っており、長年の音楽人生における父の存在の大きさと、そこからの精神的な解放を示唆しています。
演奏活動と並行して、音楽教育にも長く携わっています。1979年からは桐朋学園の、1989年から1992年にかけては愛知県立藝術大学の非常勤講師を務めました。特に、1996年から2015年3月まで専任教授を務め、現在は名誉教授であるくらしき作陽大学では、後進の指導だけでなく、小学校でのトークリサイタルなどを通じて音楽ファンの裾野拡大にも尽力しました。2015年2月には退任記念リサイタルを開催し、ベートーヴェンのソナタなどを演奏しています。
また、日本演奏家連盟、日本シベリウス協会、日本指揮者協会の会員であるほか、1992年に設立された公益信託渡邉曉雄音楽基金では運営委員として父の功績を後世に伝える活動にも関わっています。国際的なコンクール（若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール、Kジュニア＆学生音楽コンクール）や国内の音楽祭（津山国際総合音楽祭）で審査員や音楽監督・副監督を務めるなど、音楽界の振興に多角的に貢献しています。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校同窓会会長や、北欧音楽祭すわの名誉会長なども務めています。
録音活動も行っており、『バロック･ヴァイオリン名曲集』、『ミルシュタインへのオマージュ』といった器楽曲や室内楽、またくらしき作陽大学教授時代の松村禎三のソナタ、そして弾き振りによるベートーヴェンのピアノ協奏曲などのCDをリリースしています。
経歴と研鑽
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校で作曲を学んだ後、18歳で渡米。ボストンのニューイングランド音楽院とニューヨークのジュリアード音楽院という、名門音楽教育機関で約8年間にわたり専門的な研鑽を積みました。ピアノをセオドア・レトヴィンとサッシャ・ゴルトニツキーに師事し、深い音楽性を培いました。
ピアニストとしての活動
1972年、父・渡邉暁雄が指揮を務める東京フィルハーモニー交響楽団との共演で、ピアニストとしてデビューを飾りました。演奏されたのはブラームスのピアノ協奏曲第2番でした。以後、NHK交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、広島交響楽団といった国内主要オーケストラに加え、ヘルシンキ放送交響楽団など海外のオーケストラとも多数共演しています。そのレパートリーは非常に幅広く、ベートーヴェンの全5曲のピアノ協奏曲、チャイコフスキーのピアノ協奏曲、ラヴェルの二つのピアノ協奏曲など、40曲以上の協奏曲を演奏しています。
指揮者としての活動
指揮者としての活動は、1982年に父・暁雄が育成に力を注いだ徳島交響楽団を指揮したことから始まりました。その後、愛媛交響楽団、山形フィルハーモニー交響楽団、神戸室内合奏団などでも経験を積み、1992年には東京のサントリーホールで日本フィルハーモニー交響楽団を指揮し、プロ指揮者としての正式なデビュー公演を成功させました。以降も、東京都交響楽団、京都市交響楽団、九州交響楽団、群馬交響楽団など、多くのオーケストラを指揮しています。
弾き振りの探求
渡邊康雄は、自身でピアノを演奏しながらオーケストラを指揮する「弾き振り」というスタイルにも積極的に取り組んでいます。弾き振りを行う際には、オーケストラの奏者たちとの間のコミュニケーションを重視するため、あえてピアノの蓋を取り外すことがあります。彼は、通常のピアノ演奏と弾き振りでは感覚が異なると語っており、特にモーツァルトのピアノ協奏曲におけるエドウィン・フィッシャー校訂版について、通常演奏時には独特の指使いに感じられるものが、弾き振りの際には非常に理にかなっていると述べています。こまやかな配慮が行き届くという理由から、モーツァルトやベートーヴェンのピアノ協奏曲は弾き振りに適していると感じており、2019年3月にはオーケストラ・アンサンブル・金沢と共演し、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番と第5番を弾き振りで演奏しました。この演奏はCDとしてもリリースされています。
父・渡邉暁雄との繋がりと解放
ピアニスト、指揮者として父・渡邉暁雄の影響を強く受けており、父との共演経験もあります。2019年には、父の生誕100周年を記念して開催された日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会にピアニストとして出演しました。ガーシュウィンのピアノ協奏曲第3楽章を担当し、第1楽章は寺田悦子、第2楽章は弟の渡邉規久雄が演奏、指揮は父の教え子である藤岡幸夫が務めるという、渡邉家ゆかりの音楽家が集まるコンサートとなりました。この記念すべき演奏会には、学生時代から渡邉家と親交のある上皇上皇后両陛下（当時）も臨席されています。父の生誕100周年という節目に際し、「ようやく父の呪縛が解けた気がする」と心境を語っており、長年の音楽人生における父の存在の大きさと、そこからの精神的な解放を示唆しています。
教育・その他の活動
演奏活動と並行して、音楽教育にも長く携わっています。1979年からは桐朋学園の、1989年から1992年にかけては愛知県立藝術大学の非常勤講師を務めました。特に、1996年から2015年3月まで専任教授を務め、現在は名誉教授であるくらしき作陽大学では、後進の指導だけでなく、小学校でのトークリサイタルなどを通じて音楽ファンの裾野拡大にも尽力しました。2015年2月には退任記念リサイタルを開催し、ベートーヴェンのソナタなどを演奏しています。
また、日本演奏家連盟、日本シベリウス協会、日本指揮者協会の会員であるほか、1992年に設立された公益信託渡邉曉雄音楽基金では運営委員として父の功績を後世に伝える活動にも関わっています。国際的なコンクール（若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール、Kジュニア＆学生音楽コンクール）や国内の音楽祭（津山国際総合音楽祭）で審査員や音楽監督・副監督を務めるなど、音楽界の振興に多角的に貢献しています。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校同窓会会長や、北欧音楽祭すわの名誉会長なども務めています。
録音活動も行っており、『バロック･ヴァイオリン名曲集』、『ミルシュタインへのオマージュ』といった器楽曲や室内楽、またくらしき作陽大学教授時代の松村禎三のソナタ、そして弾き振りによるベートーヴェンのピアノ協奏曲などのCDをリリースしています。
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