渡部家「史料館」

渡部家史料館：時を超えて佇む歴史的建造物

秋田県鹿角市にひっそりと佇む渡部家史料館は、古民家の趣をそのままに、その歴史と文化を伝える展示施設です。元々は花輪代官所の役人を務めた在郷武士の家系である渡部家の住宅を修復し、代々受け継がれてきた骨董品などを公開しています。

建築学的にも貴重な建造物群

渡部家住宅の主屋・土蔵・門の3件は、国の登録有形文化財に登録されており、建築学上も貴重な建物として注目されています。特に、明治24年（1891年）に建てられた主屋は、木造2階建て、茅葺（現在は鉄板仮葺）の寄棟造で、その建築面積は378平方メートルにも及びます。来賓用の小座敷や、坪庭を挟んで対をなす二四畳半敷きの大座敷には、槐や桐がふんだんに用いられ、当時の建築技術と贅を尽くした意匠を今に伝えています。上棟年と大工棟梁が浅利重吉であることも記録から判明しています。

明治35年（1902年）に建てられた土蔵は、主屋の北東に位置する米蔵で、桁行8間（約15.3メートル）、梁間4間（約7.7メートル）の中規模な建物です。外壁は鉄板で覆われていますが、内部はほぼ建築当初のまま保存されており、当時の建築様式を垣間見ることができます。主屋と同じ大工棟梁によって建設されたこともわかっています。

主屋の南側正面に建つ門は、江戸末期に建てられた木造薬医門です。鉄板葺（当初は柾葺）の切妻屋根を架け、手前に板壁を配した開放的な門構えは、屋敷地の表構えを印象付けています。薬医門とは、本柱2本・控柱2本の4本の柱上に切妻屋根を架けた門のことで、棟が本柱・控柱の中間より前寄りに位置するのが特徴です。

囲炉裏を囲んで

近年、渡部家史料館では、今では珍しい囲炉裏（地元の方言で「ひびど」とも呼ばれます）を囲んでの撮影会などが開催され、その存在が広く知られるようになってきました。歴史的な建造物の中で、囲炉裏を囲んでの撮影は、特別な体験となるでしょう。

見学案内

公開期間: 5月から11月
公開時間: 午前10時から午後4時
入館料: 無料
予約: 一週間前までに予約が必要

アクセス

所在地: 秋田県鹿角市八幡平字石鳥谷63

渡部家史料館は、歴史的な建造物と貴重な文化財を通じて、地域の歴史と文化に触れることができる貴重な場所です。事前予約が必要ですが、ぜひ一度足を運んでみてください。

外部リンク
渡部家「史料館」：見学のお問い合せなど
国指定文化財等データベース – 渡部家住宅主屋
国指定文化財等データベース – 渡部家住宅土蔵
* 国指定文化財等データベース – 渡部家住宅門

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