湄雲 (砲艦)

湄雲（びうん）の歴史

湄雲は、日清戦争時に日本海軍に捕獲された砲艦で、元は清国海軍の艦名「湄雲（Mei Yun）」を引き継いでいます。この艦名の意味は「水際の雲」であり、優雅さと威厳を併せ持つ名称と言えるでしょう。

艦の竣工と来訪

湄雲は1870年に福州船廠で完成しました。1888年3月には清国の艦船として日本を訪問し、国際的な交流の一環として注目を集めました。当時の清国海軍の一員として、北洋水師に所属し、地域の防衛に寄与していました。

日清戦争における役割

日清戦争が勃発した際、湄雲は北洋水師の一部として活動していましたが、1895年3月6日に営口で日本軍によって捕獲されました。捕獲後、艦は3月29日に営口から旅順口への回航命令を受け、6月5日には日本海軍に編入されました。その後、再度旅順口への回航が命じられました。

しかし、湄雲の日本海軍での在籍期間はわずか1ヶ月と2日と非常に短く、歴史的な記録とも言えるでしょう。海軍の歴史を研究する片桐大自は、他の軍艦と比較してもこの艦が在籍期間の短さにおいて際立っていると述べています。

河口での灯台船計画とその破棄

当時、遼河河口では自然の地形が頻繁に変化していたため、水路の標識として灯台船が必要でした。湄雲を灯台船として利用する計画が立てられましたが、現地での灯火設備の調達や乗員の確保ができない上に、河口が冬期に結氷して破損の危険があったため、この計画は断念せざるを得ませんでした。最終的に、湄雲は旅順口の海軍根拠地司令部で保管されることになりました。

廃船と返還

湄雲の修理には多大な費用がかかると見積もられ、1915年11月8日には清に贈与すべきだとの意見が提出されました。最終的に、11月17日に清国政府へ寄贈することが決定され、12月には廃船となり、清国に返還されました。この艦船の運命は、その短い日本海軍としての歴史を象徴しています。

このように、湄雲は日清戦争の文脈において重要な役割を果たしながらも、非常に短い在籍期間で幕を下ろしました。その歴史は、日本と清国の外交や軍事的な背景を考える上で興味深い事例のひとつです。

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