湊楊一郎

湊楊一郎（みなと よういちろう）は、1900年1月1日に北海道小樽市で生まれ、2002年1月2日にその生涯を閉じました。本名を久々湊与一郎（くくみなと よいちろう）といい、俳人としての活動のほか、弁護士としても社会に貢献しました。

中央大学法学部を卒業後、1929年に司法試験に合格し、弁護士としてのキャリアをスタートさせます。大学時代には山岳部に所属し、自然を愛する心が、後の俳句に影響を与えたと考えられます。

1931年には、松原地蔵尊らとともに俳誌「句と評論」を創刊し、俳句の世界に足を踏み入れます。この雑誌は、当時の俳句界に新たな風を吹き込み、湊の理論的思考と革新的な視点を反映していました。戦後には、「俳句評論」や「羊歯」といった俳誌に関わり、最終的に自ら「再会」を創刊し、俳句表現の可能性を追求しました。

1946年には、栗林一石路、石橋辰之助、東京三（秋元不死男）、富澤赤黄男らとともに、新俳句人連盟を設立しました。これは、民主主義日本文化の確立と発展を目指すもので、戦後の新しい俳句運動の象徴となりました。湊は、この連盟において理論的指導者として重要な役割を果たしました。

彼の作品は、既成概念にとらわれない自由な発想と、社会に対する鋭い視線が特徴です。句集『裸木』には、その作風がよく表れています。また、評論『俳句文学原論』では、俳句の本質を深く考察し、俳句理論の発展に大きく貢献しました。

2002年6月には、俳句雑誌「現代俳句」で追悼特集が組まれ、村井和一、菊地京子、藤田守啓といった俳人たちがその死を悼みました。また、湊の息子の妻である歌人の久々湊盈子が、義父との思い出を綴った「義父との歳月」を寄稿しており、彼の人間的な側面を伝えています。

1990年には現代俳句協会大賞を受賞しており、その業績は高く評価されています。湊楊一郎の俳句と評論は、現代においても多くの俳人に影響を与え続けています。彼の作品は、俳句の新たな可能性を追求し、現代俳句の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

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