湯守

湯守（ゆもり、ゆまもり）とは

湯守とは、温泉の源泉を管理する人のことを指します。その歴史は古く、主に封建制度が存在した時代からその役割が重要視されてきました。

封建時代における湯守

封建時代、温泉が湧き出る土地の領主は、その温泉の管理を特定の人物に任せることがありました。これが湯守の始まりです。湯守に任命された者は、温泉の利用を独占する権利を与えられ、その代わりに領主に売り上げを納めることが一般的でした。また、湯守の地位は世襲されることも多く、代々その一族が温泉の管理を担っていました。

特に江戸時代には、戦国時代の終結に伴い社会が安定したため、湯守の制度が広く浸透しました。温泉は地域住民にとって重要な資源であり、湯守はその管理を通じて地域の安定に貢献していたと言えるでしょう。

明治時代以降の湯守

明治時代に入り、封建制度が廃止されると、湯守の制度もその役目を終えました。しかし、多くの湯守は、それまで培ってきた温泉の利用権を保持し続けました。湯小屋などを経営していた場合は、そのまま旅館として営業を継続する場合が多く見られました。また、温泉の管理についても、湯守の一族が引き続き行うケースや、地域全体で共同管理に移行するケースなど、様々な形態が見られました。

現代における湯守

現代において「湯守」という言葉を使う場合、源泉を含めた入浴施設全体の管理を専門に行う従業員を指すことが一般的です。しかし、湯守を専業とする従業員を置くケースは非常に稀です。多くの温泉施設では、複数の業務を兼任する従業員が、湯守の役割の一部を担っているのが現状です。

湯守は、かつては温泉の恵みを守り、地域社会を支える重要な役割を担っていました。その歴史と伝統は、現代の温泉文化にも深く根付いていると言えるでしょう。温泉を訪れる際には、湯守の存在やその歴史に思いを馳せてみるのも、また一興かもしれません。

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