湿った夏の始まり

aiko、デビュー20周年記念アルバム『湿った夏の始まり』：夏の記憶と新たな出発

2018年6月6日、シンガーソングライターaikoのメジャー通算13枚目のオリジナルアルバム『湿った夏の始まり』がリリースされました。前作『May Dream』から2年ぶり、そしてデビュー20周年という節目の年に発表された本作は、aikoのこれまでのキャリアと、未来への展望を凝縮した作品と言えるでしょう。

アルバムタイトル『湿った夏の始まり』は、6月という発売時期からインスピレーションを得たもの。aiko自身、2001年に発表した代表作『夏服』から17年後の夏を表現したい、その後の自身の歩みを音楽に込めた作品にしたいという思いから名付けられました。

『夏服』から時を経て、aikoの音楽性や表現方法はさらに成熟し、多様性を増しています。本作には、シングルとしてリリースされた「ストロー」、「予告」、「恋をしたのは」など、既に多くのリスナーに親しまれている楽曲に加え、新たな魅力あふれる楽曲が収録されています。全13曲を通して、夏の情景や感情を繊細に、そして力強く描き出している点が特徴です。

注目すべきは、一部楽曲のアレンジを、4年ぶりに島田昌典氏が担当している点です。島田氏とのコラボレーションは、aikoの音楽に独特の深みと広がりを与え、アルバム全体に一貫性と奥行きをもたらしています。

初回限定盤は、ジャケットデザインにこだわったカラートレイ仕様となっています。ただし、CD以外の特典は付属していない点が特徴です。これは、2012年のアルバム『時のシルエット』以来のことになります。CDそのもののクオリティに自信を持ち、音楽そのものに焦点を当てた、aikoの自信の表れと言えるでしょう。

『湿った夏の始まり』は、単なる夏のアルバムではありません。デビュー20周年という節目を迎え、自身の過去を振り返りながら、未来への希望や期待を込めた、aikoの集大成とも言うべき作品です。懐かしい夏の記憶を呼び起こしつつ、新たなaikoの魅力を発見できる、そんなアルバムとなっています。

聴く人それぞれの夏の思い出や感情と重なり合い、aikoの音楽世界に浸ることができるでしょう。長年のファンはもちろん、初めてaikoの音楽に触れるリスナーにとっても、忘れがたい夏のアルバムとなるはずです。

このアルバムは、aikoの音楽史において、重要なマイルストーンとなる作品として記憶されることでしょう。その音楽性、アレンジ、そしてアルバムタイトルに込めた思い、全てがaikoのアーティストとしての成熟と成長を示す、象徴的な作品と言えるでしょう。

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