満洲善後条約

満洲善後条約について

満洲善後条約は1905年12月22日に清国の北京で、日本と清国の間に結ばれた重要な条約です。この条約の公式名称は「日清間満洲ニ関スル条約」とされ、中国では「中日会議東三省事宜正約及附」と呼ばれています。

条約の概要

この条約は、日本側が特派全権大使の小村寿太郎（外務大臣）及び公使の内田康哉と、清国側が欽差全権大臣の慶親王奕劻と瞿鴻禨、袁世凱との間で調印されました。条約は3つの本文条項、12の付属協定、16の付属取決から成り立っています。

条約の内容は、日露戦争の結果としてポーツマス条約で日本に譲渡された満洲の利権に関するもので、清国はそれを承認しました。具体的には、南満洲鉄道の吉林までの延伸、日本陸軍の常駐権、沿線の鉱山採掘権、安奉鉄道の使用権などが盛り込まれ、今後の満洲経営に必要な基盤を築くものでした。これらの条項は、辛亥革命後も北洋政府や奉天軍閥に継承されていくことになります。

条約締結までの過程

満洲が露清密約の下にある中で、清国は日露戦争勃発前にロシア帝国との密約を結び、満洲でのロシアの権益を認めました。それゆえ、日露戦争終結時には日本と清国との関係が複雑に絡み合っていました。

日露戦争後、清国はポーツマス会議への出席を求めましたが、戦争当事国ではないため、この要求は受け入れられませんでした。しかし、ポーツマス条約により、日本は南満洲鉄道の利権を手に入れることとなりました。清国はこれに異議を唱え、日清間の利権復帰を日本に要請しました。

満洲善後条約の交渉

両国間の交渉が始まると、日本側はポーツマス条約を根拠に清国の要求に対して慎重な姿勢を取りました。特に、日本軍の撤退については日本側に譲歩が求められましたが、ポーツマス条約に抵触するため、容易には受け入れられませんでした。

1905年11月17日から続く会議の中で、清国側は日本軍の撤退期間を短縮し、鉄道守備兵の撤退を求めました。しかし、日本側は、再度侵略の危険が高まる中では安全を精一杯確保しなければならないという立場を崩しませんでした。最終的には、12月22日に条約は締結されることになります。

条約の成立と影響

満洲善後条約は1906年に日本国内で正式に批准され、同年1月22日に公布されました。この条約の締結によって、日本の満洲における影響力は強化され、日本人の居留地の設置や沿線の資源開発に道を開きました。また、条約はその後も中華民国成立や満洲事変に至るまで、様々な歴史的事象に影響を与え続けました。

このように、満洲善後条約は日清両国間の経済的・政治的関係を新たに構築する重要な契機となり、後の満洲における日本の活動に大きな影響を与えたのです。

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