源希義

源希義（みなもと の まれよし）

源希義は、平安時代末期の河内源氏の武将で、源義朝の五男として知られています。母を同じくする兄には鎌倉幕府を開いた源頼朝がいます。

生涯

仁平2年（1152年）に生まれたと推定されています。平治元年（1159年）の平治の乱で父や兄たちが命を落とした後、希義は母方の伯父である藤原範忠によって朝廷に差し出されました。永暦元年（1160年）には土佐国への流罪が決定し、現在の高知県高知市介良にあたる介良荘に配流され、「土佐冠者」と呼ばれました。

治承4年（1180年）に源頼朝が挙兵すると、平家は希義が頼朝に呼応するのではないかと疑い、追討令を出しました。蓮池家綱と平田俊遠が希義を討とうとしましたが、希義は以前から約束を交わしていた夜須行宗を頼り、その根拠地である夜須荘へ向かいました。しかし、吾川郡の年越山で追いつかれ、ついに討たれてしまいました。

『平治物語』では、頼朝の挙兵を知った平家方の勢力に包囲された希義が、父・義朝のために仏事を行った後、自害したと伝えられています。また、この頃、希義は熊野などの海上勢力と連携し、南海に独自の反平家勢力圏を築こうとしていたという説もあります。

希義の死後、師僧であった琳猷上人は、平家の目を恐れて葬儀も行われずに打ち捨てられていた遺体を引き取り、手厚く供養しました。文治元年（1185年）には、希義の遺髪を持って鎌倉を訪れ、頼朝と対面。頼朝は上人の来訪を「亡き希義の魂が再び訪ねてきたようだ」と喜び、手厚くもてなしたと伝えられています。

兄・頼朝は希義の死を深く悲しみ、大軍を派遣して蓮池・平田らを討伐。介良荘に西養寺を建立し、希義の菩提を弔いました。寺名は希義の法名「西養寺殿円照大禅定門」に由来します。

没年について

希義の没年については、史料によって記述が異なっています。

寿永元年（1182年） - 『吾妻鏡』
治承4年（1180年）12月1日 - 『延慶本平家物語』
* 治承4年（1180年） - 『尊卑分脈』、『平治物語』

墓所

希義の墓所として建立された西養寺は、明治時代の廃仏毀釈によって廃寺となりましたが、跡地（高知県高知市介良）には無縫塔が残っています。地元ではこの無縫塔を希義の墓としています。1995年には、鎌倉の源頼朝の墓の土と石を交換し、兄弟の再会を果たすという催しが行われました。また、墓の上には希義を祀る希義神社が建てられています。

高知県高知市横浜東町には、希義を祀った聖神社もあります。

後裔氏族

希義の子孫である土佐吉良氏は、戦国時代の土佐七雄の一つとして知られています。『吉良物語』によれば、希義の遺児・源希望が頼朝によって取り立てられ、吉良荘を与えられたと伝えられています。

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