準郊外

準郊外（じゅんこうがい、exurb）

準郊外とは、高速道路の開通によって都市部の通勤圏に組み込まれた、郊外よりもさらに離れた裕福なエリアを指す言葉です。主にアメリカで使われますが、カナダをはじめとするその他の先進国でも見かける現象です。1950年代にオーガスト・コント・スペクトロスキーがその概念を提唱し、以降、さまざまな社会的現象に影響を与えてきました。

この準郊外という概念は1970年代に特に顕著になりました。当時アメリカの都市では犯罪が増加し、治安が悪化する中で、郊外からさらに遠くのエリアへの移住が進みました。このことが、準郊外の形成を促す要因となったのです。以降、都市の治安は改善され、街の再活性化が進みましたが、物価の急騰が続いています。その影響で、大きな庭を求める中流階級の人々や製造業などは、さらなる郊外への移動を迫られています。このため、2000年代に入っても準郊外は拡大を続ける傾向にあります。

準郊外の地域の経済状況や教育レベルは一様ではありません。準郊外に所在する高等教育機関の質は、近隣の郊外地域に比べて劣ることが多いのですが、周囲の田舎町と比較すると、平均的な収入はかなり高い傾向にあります。しかし、地域によってはその逆も存在します。たとえば、ワシントンD.C.の準郊外に位置するバージニア州のラウドン郡や、ミルウォーキー準郊外のウィスコンシン州のウォキショー郡などは、これらの大都市圏において最高水準の平均世帯収入を誇っているケースがあります。これに対して、準郊外内でも一部地域には郊外地域より高い貧困率を示すところもあります。

準郊外の成長はモータリゼーションと密接に関連しており、それにより多くの人々が自動車を利用して利便性の高い地域にアクセスすることが可能となっています。この現象は、都市部と郊外の関係を新たに見直す契機となり、居住環境の選択肢を多様化させています。"準郊外”の特徴は、単なる居住の場というだけではなく、生活全般にわたる新しいライフスタイルの選択肢を提供しているのです。経済的、社会的背景の違いを理解することは、準郊外が日本を含む他の国々でもどのように展開しているのかを考える上で重要な視点と言えるでしょう。

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