溶融亜鉛めっき

溶融亜鉛めっきとは

溶融亜鉛めっき（Hot-dip galvanizing）は、鋼材の表面に亜鉛の合金層を形成させることで、鋼材の腐食を抑制する防錆処理技術の一つです。現場では「ドブづけ」や「テンプラ」といった俗称で呼ばれることもあります。

概要

鋼材を溶融した亜鉛の槽に浸漬させることで、鋼材表面に亜鉛の保護層を形成します。この亜鉛層が、鋼材よりも先に腐食することで鋼材本体を保護する「犠牲防食作用」を発揮します。これにより、屋外に設置される鋼構造物、例えば送電用鉄塔などの防錆処理として広く採用されています。

環境条件が良好な場合、数十年にわたる防食効果が期待できますが、重工業地帯や海浜地区など腐食しやすい環境下では、保護効果の寿命が短くなる傾向があります。

色の変化

めっき直後は亜鉛特有の光沢のある銀色をしていますが、時間の経過とともに風雨にさらされることで表面に酸化被膜が形成され、白っぽい色に変化していきます。

規格

溶融亜鉛めっきの作業工程は、JIS H 8641で以下のように定められています。

1. 脱脂: 鋼材表面の油分や汚れを、10%濃度のアルカリ溶液で除去します。
2. 酸洗: 鋼材表面の酸化被膜や錆を、7〜10%濃度の硫酸溶液で除去します。
3. フラックス処理: 鋼材表面を活性化させ、亜鉛めっきの密着性を高めるため、飽和塩化亜鉛アンモニウム溶液に浸します。
4. めっき: 440〜460℃に加熱された溶融亜鉛槽に鋼材を浸漬させ、亜鉛の層を形成させます。
5. 冷却: めっき後の鋼材を温水または空気で冷却します。

めっきされた鋼材の表面には、亜鉛の結晶化によって生じる斑模様（スパンクル）が現れるのが特徴です。

まとめ

溶融亜鉛めっきは、鋼材の耐久性を高めるための重要な技術であり、私たちの生活を支える様々な構造物の安全に貢献しています。適切な環境下では長期的な防食効果が期待できますが、設置環境に応じたメンテナンスも重要となります。

関連情報

• - 亜鉛めっき
• - 亜鉛めっき鋼板
• - ガルバリウム
• - 社団法人日本溶融亜鉛鍍金協会

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