滅諍

滅諍（めつじょう）について

滅諍（adhikaraṇa-samathā）は、仏教における出家者―具体的には比丘（男性出家者）と比丘尼（女性出家者）―に与えられる戒律の一部を指します。この戒律は、僧伽（僧団）内の争いや対立を調整する方法についての取り決めです。滅諍には、出家者が争いを公正に解決するために従うべき具体的な原則が含まれており、合計7つの異なる規定が設けられています。

七滅諍の内容

滅諍における7つの規定は以下の通りです：

1. 現前毘尼（げんぜんびに） - この規定は、全員が参加する裁判の原則を定めています。すなわち、関係するすべての僧は集まって話し合い、問題を解決することが必要です。

2. 憶念毘尼（おくねんびに） - 潔白を証明することによる無罪規定であり、出家者が無実である場合、その無実が認められることを保障します。

3. 不癡毘尼（ふちびに） - 精神的な障害や病によって行動や判断が影響を受けた場合は、その理由により無罪とされる規定です。

4. 自言治（じごんち） - 自らの言葉で事実を認める自白規定です。自白を基に問題が解決されることを目的としています。

5. 多人語（たにんご） - 多数決による決定を行う規定で、僧団内での合意形成の際に重要です。

6. 覓罪相（みゃくざいしょう） - 拘置に関する規定であり、この規定に従い、問題を抱えた者の扱いが決まります。

7. 如草覆地（にょそうふくじ） - 和解に関する規定で、争いの当事者が和解に至るための手続きを定めています。

まとめ

滅諍は、仏教の僧団が内外の問題を円滑に解決するための重要な枠組みを提供しています。これらの規定は、僧伽内での調和を保つために不可欠であり、出家者が互いに協力しながら生活するための基本的なルールといえるでしょう。これにより、個々の出家者は心の安定を図り、教えに専念できる環境が整います。

本記事では、「滅諍」の概要とその構成要素である「七滅諍」について詳しく解説しました。これらの戒律は、僧団内における争いごとを平和的に解決するための指針を示しており、仏教徒にとって非常に重要なものです。興味深いことに、滅諍は単なる規定ではなく、出家者同士の関係性や信頼の構築にも寄与しています。今後の研究や実践において、これらの規定がどのように活用されていくのか注目されるところです。

もう一度検索