漢江の奇跡

漢江の奇跡

漢江の奇跡は、1945年の解放後、朝鮮戦争によって経済が壊滅的な状況にあった大韓民国が、特に1960年代後半から1990年までの間に急速に経済成長を遂げた現象を指します。これは復興を果たし、民主化の流れを生み出す重要な基盤となりました。

はじまり

1961年に朴正煕が5・16軍事クーデターを起こし、政権を確立すると、彼は「経済開発」をテーマに国民の支持を得ようとしました。当時、韓国は北朝鮮の影響を受けており、韓国経済は苦しく、国内総生産は北朝鮮を上回ることができませんでした。そこで、朴政権は五カ年計画に基づく計画経済を導入し、経済の回復を目指しました。

当初、アメリカからの無償援助が続いていましたが、これに加えて、ベトナム戦争による消費特需や、西側諸国からの融資などが韓国経済にプラスの影響を与えました。特に1965年の日韓基本条約が締結されたことで、日本からの円借款と技術援助が得られ、これが大いに経済発展に寄与しました。

都市開発と経済成長

漢江周辺では、ソウルの江南地域や汝矣島が特に著しい開発が進められ、農地は金融・ビジネスの中心地へと変貌しました。韓国は、国内のインフラを整備し、企業への投資を促進する中で急成長を実現しました。この間、朴正煕政権は特に財閥を中心にビジネスの発展を促進し、工業やサービス業を育成しました。

ベトナム戦争に従事したことで、韓国は施設設営のノウハウを得るとともに、アメリカとの関係を深め、1970年代の中東建設ブームの波に乗りました。その後の1980年代にはソウルオリンピックが成功を収め、韓国の国際的地位を高めることにも寄与しました。

様々な要因

急速な経済成長の背景には、政府の「五カ年開発計画」やセマウル運動などの内的要因がありました。外的要因としては、アメリカや日本からの新たな援助や、外資導入の方針が挙げられます。また、韓国の財閥が国際的な競争力を高め、国内外での経済活動を活発にしたことも重要です。

しかし、著しい経済成長の裏側には、農村や中小企業が取り残されるという課題も存在しました。過度の都市集中と緊縮政策は、地域間の格差を生み出しました。

評価

朴正煕の娘、朴槿恵が大統領に就任した際には「第2の漢江の奇跡」の実現を掲げましたが、彼女は弾劾を受け、政権は終焉を迎えました。その後も漢江の奇跡の評価に関しては変化が見られ、文在寅政権の下で、その経済的成功が再評価される一方で、過去の政治的な文脈が見直される動きもあるのです。

結論

漢江の奇跡は単なる経済成長の現象ではなく、社会や政治、国際関係の中で形成された複雑なプロセスの結果です。経済的成功を享受しつつも、社会的な格差や困難を抱える地域も存在することは、今後の政策において解決すべき大きな課題であると言えるでしょう。

もう一度検索