漢江人道橋爆破事件

漢江人道橋爆破事件

漢江人道橋爆破事件（かんこうじんどうきょうばくはじけん）は、1950年6月28日、朝鮮戦争中に韓国軍が漢江人道橋（現・漢江大橋）を爆破し、約800人の民間人が亡くなった悲惨な事件です。この事件は、朝鮮半島の歴史の中で重要な位置を占め、戦争の混乱により多くの無実の人々が犠牲となったことを示しています。

事件の発生背景

朝鮮戦争は1950年6月25日に北朝鮮が韓国に侵攻したことから始まりました。韓国軍は徐々に後退し、危機感が高まっていました。6月27日深夜には非常国務会議が招集されましたが、市民の避難に関する具体的な対策は講じられず、政府の水原移転だけが決定されました。特に、ソウルの市民たちは政府から楽観的な情報しか知らされておらず、避難計画がないまま混乱が広がっていきました。

防衛線の崩壊と橋の爆破命令

6月28日午前1時、漢江を挟んだ南側の防御線が崩壊し、北朝鮮軍の戦車が市内に侵入しました。この状況を受け、韓国軍の参謀総長は漢江人道橋の爆破を決定しました。橋の爆破指令が伝達された後、現場は避難民で混雑しており、状況は制御不能に陥っていました。

橋の爆破とその影響

午前2時30分、警告なしに漢江人道橋は爆破され、その直前、約4000人の避難民が橋を渡っている最中でした。このため、約200人から800人の民間人が犠牲となり、多くの人々が負傷しました。また、韓国軍の車両や装備も漢江北岸に取り残され、北朝鮮軍に捕捉される結果となりました。

この事故は韓国軍にとっても大きな損失であり、戦略的失策となりました。爆破によって韓国軍の撤退ルートが制限され、戦闘部隊は北朝鮮軍の攻撃にさらされました。

事件の責任と後の展開

爆破の責任は、参謀総長や国防次官に押し付けられ、現場の責任者であった崔昌植大佐が銃殺されることになりました。しかし、1962年には再審により無罪が確定し、名誉が回復されました。この事件の命令の出所については、関連する高官の間でも意見が分かれ、混乱が続くこととなります。

継続する影響と慰霊祭

事件から60年が経過した2010年には、初めて民間団体によって慰霊祭が行われました。しかし、今もなお事件犠牲者を追悼する碑は建てられておらず、その建立を求める声も上がっています。この事件は、戦争やその影響について考える重要な教訓とされています。

このように漢江人道橋爆破事件は、戦争の混乱によって引き起こされた悲劇であり、多くの人々の命が奪われたことから、韓国の歴史の中で非常に重要な位置を占めています。

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