潜水士

潜水士（せんすいし）とは

潜水士とは、潜水用具を装着し、海や湖・沼などの水中で様々な作業を行う専門職のことを指します。一般的には、資格を持って労働作業に従事する者を指すことが多いですが、趣味として潜水を行うダイバーを指すこともあります。また、日本においては、労働安全衛生法に基づく国家資格の呼称でもあり、潜水士免許試験に合格した者がこの資格を取得します。さらに、海上自衛隊と海上保安庁の職員にもこの称呼が用いられます。

潜水士免許について

資格の重要性

潜水士免許は、労働安全衛生法に従い、潜水作業に従事する労働者が取得すべき国家資格です。この免許は、労働者を守るための法令であり、事業者は無免許の者を潜水作業に従事させることを禁じています。ただし、レジャー目的での潜水にはこの規制は適用されません。ダイビングスクールで発行される「Cカード」とは異なり、潜水士免許取得には実技試験がないため、ダイビングリゾートなどでは「Cカード」が求められます。

免許が必要な業務

潜水士免許が必要とされる作業には、海洋サルベージ、水中掘削、大学や研究機関での海洋生物調査、水族館での作業、ダイビングスクールのインストラクター、海上自衛隊や海上保安庁の潜水士、警察や消防の水難救助隊などがあります。ただし、素潜りや潜水器を使用しない潜水については免許は必要ありません。

受験資格

潜水士免許の受験にあたり、年齢、学歴、資格に特別な制限は設けられていませんが、免許交付を受けるには18歳以上である必要があります。

試験の詳細

試験日程と科目

潜水士免許試験は、年間を通じて2月、4月、7月、9月、12月に実施されており、出張特別試験や追加試験も行われます。試験科目はすべて学科で構成され、実技は課されないのが特徴です。合格基準は全体点数の60%以上、かつ各科目で40%以上を得る必要があります。

合格率や手数料

毎年の合格率は約80%で、試験手数料は8,800円、免許申請には収入印紙が1,500円分必要です。電子申請の場合は1,450円がかかります。

試験の構成

試験は、「潜水業務」「送気、潜降及び浮上」「高気圧障害」「関係法令」の4科目からなり、合計で4時間の試験時間が設定されています。

海上自衛隊と海上保安庁の潜水士

海上自衛隊の潜水士

海上自衛隊では、潜水員が広島県江田島の第1術科学校で養成され、潜水士の国家資格を受験します。潜水員は、掃海部隊や護衛艦、潜水艦、特別警備隊、救難飛行隊など多岐にわたる役割を担っています。

海上保安庁の潜水士

海上保安庁の潜水士は、全国に129名が配属され、海難救助活動に従事しています。潜水士になるためには、海上保安大学校での研修課程を修了し、国家試験に合格する必要があります。実技訓練は海で行われ、潜水士としてのスキルを磨きます。さらに、合同訓練や特殊救難隊への移行も可能です。

課題と問題点

潜水士免許取得が義務化される一方で、実際には一部のダイビングスクールで無免許の従業員がいるといった状況が報告されています。これはリスクを伴い、法令遵守が課題とされています。実技試験がないため、民間企業などでは座学での学習に頼るしかなく、Cカードを取得する方が実力を認められやすい傾向があります。このため、潜水士受験者は海中作業を行う業者や官公庁の職員が大半を占めており、受験者数は毎年約7000人前後となっています。

潜水士の資格制度は、産業の安全を守るために重要ですが、教育・制度の改善が必要とされる状況です。

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