潜水艦クルスクの生存者たち

潜水艦クルスクの生存者たち

『潜水艦クルスクの生存者たち』は、2018年に公開されたフランス・ベルギー・ルクセンブルク製のディザスタードラマ映画であり、監督はトマス・ヴィンターベアが務めています。この映画は、2000年に発生したロシア海軍の原子力潜水艦クルスクの沈没事故をテーマに描かれています。その原作は、ロバート・ムーアによるノンフィクション書籍『A Time to Die』です。

映画の中心となるのは、ロシア海軍北方艦隊に所属するミハイル・アヴェリン大尉です。彼はムルマンスクという基地で妻と子供と共に暮らしており、日常の中で同僚の結婚式の準備を行っていました。しかし、給料の遅配から困難に直面し、彼は腕時計と引き換えに酒類を調達することに成功し、結婚式を無事に進めることができました。

数日後、クルスクは海上での演習に向かいましたが、その航海中に魚雷発射室からの異常報告が入りました。魚雷から漏れ出た高濃度過酸化水素が原因で、艦長はその情報を軽視し、結果として魚雷が爆発。艦の前部が壊滅的な打撃を受け、クルスクは深海へ沈んでしまいます。爆発により生き残ったミハイルたち乗組員は、艦の最後尾にある区画に避難し、救助の到来を待ちます。

一方、ムルマンスクでは潜水艦の沈没を受けて、妻のターニャを中心とした家族が夫たちの無事を確認しようと情報を集めています。状況は悲惨で、北方艦隊の指揮官は生存者の確認を急いでいますが、当時のロシア海軍の救助体制の脆弱性が明らかになります。イギリス海軍のラッセル代将も状況を把握し、助けを提案しますが、ロシア側は外部からの救助を拒否していました。

最初の救助作戦は失敗し、連日続く苦難の中で乗組員たちは酸素カートリッジを確保し、限られた酸素を分け合う生活を強いられます。水が増える一方で、状況は次第に絶望へと向かっていきます。数日後、国際的な報道が始まり、外部からの支援要請が相次ぎましたが、ロシア当局は機密保持を優先し、提供された援助を全て断り続けることになります。家族は情報が乏しい中で不安を募らせ、政府への不信感が広がっていきました。

その後、再度の救助作戦が行われ、ようやくイギリス側から支援が表明されるも、事態は進展せず、乗組員たちは生き残りをかけた苛烈な時間を耐えていました。残された食料で士気を維持しようとするも、思わぬ事故が彼らを襲います。

最終的に、クルスク内部は水に浸り、酸素が消耗していく中、ミハイルは仲間たちと別れを告げ、最期の時を迎えます。彼が残した手紙は後に葬儀でターニャによって読み上げられ、残された子供たちの心に強い印象を与えました。

映画は、この悲劇がもたらした深い悲しみと、政府の対応の失敗を映し出しながら、観客にさまざまな課題を投げかけます。物語は、乗組員の家族の想いや、政治的な決断の影響がもたらす悲劇を浮き彫りにし、感動的なフィナーレを迎えます。

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