澤本光男

澤本 光男 (Mitsuo Sawamoto)

澤本光男は、1951年12月12日に京都府で生まれた日本の高分子化学者です。彼は京都大学名誉教授であり、中部大学の教授としても知られています。また、日本化学会の常務理事を務め、学界に多大な貢献をしています。

学歴と職歴

1974年に京都大学工学部高分子化学科を卒業した後、同大学院に進学し、1979年に工学博士の学位を取得しました。彼の博士論文は「カチオン重合の生長炭素カチオンに関する研究」というものでした。

1981年に京都大学工学部の助手に就任し、1993年より助教授、そして1994年には教授に昇進しました。その後、2005年には日本学術会議の会員となり、2006年には国際純正応用化学連合（IUPAC）の準会員となりました。澤本氏は、2008年から2010年まで高分子学会の会長を務め、2017年からは中部大学で教授として活動しています。

主な業績

澤本は、高分子化学の分野で数々の重要な発見を行ってきました。特に、1995年には原子移動ラジカル重合を独立して報告し、これが彼のキャリアにおける重要なマイルストーンとなっています。また、彼の研究は高分子合成における精密制御を実現する新しいアプローチを提示し、多くの引用を集めてきました。

2015年には紫綬褒章を受章し、これまでに発表した論文は約350報に及び、その引用回数は2008年3月時点でおよそ6400回に達しています。特に、カチオン重合とラジカル重合に関する研究は、彼の業績の中で特に注目されています。彼のリビングカチオン重合（1984年）や金属触媒を用いたリビングラジカル重合（1995年）の論文は、これまでに多くの学者に引用されています。2003年に発表された日本経済新聞の記事によると、1997年から2001年の5年間の引用数は国内で1位、世界で3位にランクされています。

研究内容

澤本の研究は、高分子化学や高分子合成の精密制御に焦点を当てています。彼は特にカチオン重合とラジカル重合の分野でリビング重合の革新的手法を開発し、これにより多様な高分子材料の合成を可能にしました。具体的には、ルイス酸触媒の設計に基づいて、リビングカチオン重合の手法を確立しました。また、遷移金属錯体を用いたラジカル重合の開発にも貢献し、実用的な応用が期待されています。

さらに、澤本はブロックポリマーや両親媒性高分子、熱可塑性エラストマーなど、多種多様な機能性高分子の精密合成法を開発しています。これらの研究は、高分子材料の特性や機能を深く理解することにつながり、産業界においても大きな影響を与えています。

受賞歴

澤本は数多くの賞を受賞しており、1992年の高分子学会賞や1999年の日本化学会学術賞、2002年のアーサー・K・ドーリットル賞などがその一部です。その他、2015年には紫綬褒章、2021年にはクラリベイト引用栄誉賞を受賞するなど、国内外で高い評価を受けています。

結論

高分子化学における澤本光男の貢献は、基礎研究から応用研究にまで広がっており、彼の業績は今後の研究にも影響を与え続けることでしょう。

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