濁流 (1934年の映画)

映画『濁流』の概要

『濁流』（だくりゅう、英語: Born to Be Bad）は、1934年に公開された劇映画で、監督はローウェル・シャーマン、主演にはロレッタ・ヤングとケーリー・グラントが名を連ねています。この作品は、公開までにヘイズ委員会から2度の却下を受けた経歴がありますが、最終的には映画として完成を見ました。物語は女性の未婚の母というテーマを扱っており、主人公は様々な困難に直面しながらも奮闘する姿が描かれています。

あらすじ

物語は、レティ・ストロングが未婚で息子のミッキーを出産するところから始まります。年老いたファジーの助けを受けたレティは、生活のために衣料品会社でマネキンになります。レティは顧客の気を引き、仕入れを増やす手腕を発揮し、しばらく贅沢な生活を送ります。しかし、成長したミッキーは不良少年となり、ある日ミルク会社のトラックとの事故に遭います。

レティは、医師のドロプシイや悪徳弁護士のアドルフと共に、事故のトラック運転手であるマルコム・トレヴァーに対して巨額の損害賠償を求める訴訟を起こしますが、法廷で彼らの陰謀が明るみに出てしまいます。この結果、ミッキーは養育院に送られ、レティは絶望的な状況に追い込まれていきます。

レティはマルコムに懇願し、彼とその妻アリスにミッキーを引き取ってもらうことになります。だが、ミッキーを取り戻そうとするレティは、最終的にマルコムを誘惑することになります。マルコムも妻との離婚を考え始めますが、ある日プールでの事故を通じて、アリスがミッキーを救う姿を見たレティは、ミッキーをマルコム夫妻に託すことを決意し、再びファジーの元に戻ります。

キャスト

この映画には、ロレッタ・ヤングが主人公レティ・ストロング役として出演し、ケーリー・グラントがマルコム・トレヴァー役を演じています。また、ジャッキー・ケルクがミッキー・ストロング役、マリオン・バーンズがアリス・トレヴァー役を務め、その他にも様々なキャストが登場します。ヘンリー・トラヴァースやハワード・ラング、ハリー・グリーンといった俳優たちも重要な役割を果たしています。

評価

『濁流』は20世紀の映画の中で唯一、公開が認められても興行的に失敗した作品とされています。ヘイズ委員会による厳しい審査の結果、大幅なカットや再撮影が余儀なくされ、制作費25万ドルに対し、興行収入はわずか5万ドルに留まりました。この作品に対する批評は厳しく、『ニューヨーク・タイムズ』では「救いようがないほど知性に欠けた作品」と評され、『バラエティ』誌ではグラントの演技が「精彩を欠く」と指摘されました。

このように『濁流』は、当時の映画業界における厳しい基準とそれに伴う制約の中で生まれた作品であり、作品自体は失敗と見なされましたが、登場人物たちが抱える内面的な葛藤や道徳的ジレンマは、視聴者にとって魅力的な要素でもあります。

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