濃厚凝縮ドキュメント 五分館

濃厚凝縮ドキュメント 五分館

『濃厚凝縮ドキュメント 五分館』（のうこうぎょうしゅくドキュメント ごふんかん）は、2017年にテレビ朝日系列で放送された深夜のドキュメンタリー番組です。独特な切り口で注目を集めました。

番組概要

この番組の最大の特徴は、「5分間」という極めて短い時間に焦点を当てたドキュメンタリーである点です。舞台となるのは、多くの人々が行き交う賑やかな中華料理店。視聴者は、そこで繰り広げられる人間模様を、まさに料理が注文されてからテーブルに運ばれてくるまでのわずか5分間という時間枠の中で垣間見ることになります。

番組のコンセプトは、「中華料理店で注文から料理が出てくるまでの時間に展開されるかもしれないドキュメンタリー」。特定の人物やテーマに限定されることなく、その瞬間に店内に居合わせた、あるいは関係する様々な人々にカメラを向け、それぞれの人生の一コマや内面に迫ろうとしました。5分という限られた時間だからこそ、余計な説明を排し、純粋にその場で起きていること、人々の表情や言葉、仕草から何かを感じ取らせるような、凝縮されたドキュメンタリースタイルが追求されました。

放送期間と変遷

本番組は、レギュラー放送が始まる前に、まず試験的な試みとして放送されました。2017年の2月から3月にかけて、テレビ朝日の深夜番組『お願い!ランキング』の中で、パイロット版として複数回放送され、その反響や番組としての可能性が探られました。このパイロット版での手応えを受けて、同年4月からは独立したレギュラー番組として正式にスタートする運びとなりました。

レギュラー放送は、2017年4月23日に開始され、同年6月27日まで続けられました。比較的短い期間での放送であり、全10回をもって終了しました。放送時間は毎週日曜日の0時30分から1時00分までの30分枠で、これは実質的には毎週土曜日の深夜にあたります。

出演者

番組の司会は、お笑いコンビのサンドウィッチマンが務めました。伊達みきお氏と富澤たけし氏の二人が、番組の案内役として、毎回異なる人物の5分間のドキュメンタリーを見守り、時には寸評を加える形で番組を進行しました。彼らの視点を通じて、視聴者は紹介される人々の多様な人生に触れることとなりました。

番組の特色と評価

「5分」という時間の制約と「中華料理店」という日常的な舞台設定は、ドキュメンタリーとしては非常にユニークな組み合わせでした。大規模な出来事や有名な人物を追うのではなく、名もなき人々のありふれた日常に潜むドラマや感情を、短時間で鋭く切り取ろうとする試みは、ドキュメンタリーの新たな可能性を示すものでした。全10回という短いシリーズではありましたが、その斬新なコンセプトと、日常の中に隠された普遍的な人間性を浮き彫りにするアプローチは、一部で評価を得ました。

『濃厚凝縮ドキュメント 五分館』は、ドキュメンタリーというと構えてしまいがちな視聴者にも、気軽に、しかし深く何かを感じ取ってもらうことを意図した、まさに「濃厚凝縮」された作品群であったと言えるでしょう。それは、私たちが普段見過ごしている日常の断片の中にこそ、豊かなドラマが潜んでいることを示唆するものでした。

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