濱口桂一郎

濱口桂一郎氏は、1958年大阪府生まれの日本の労働官僚、労働研究者です。東京大学卒業後、労働省（現厚生労働省）に入省し、労働行政に携わりました。その後、労働政策研究・研修機構労働政策研究所長を務めるなど、研究者としても活躍しています。

専門分野と主な活動

濱口氏の専門は労働法政策であり、特に日本の雇用システムに関する研究で知られています。彼は、諸外国の雇用システムと比較するために「ジョブ型」「メンバーシップ型」という概念を提唱しました。これらの概念は、日本の雇用システムを理解する上で重要な視点を提供しており、社会的な議論を活発化させる要因となりました。しかし、濱口氏は、世間一般に広まっているジョブ型雇用に対する理解には誤解が多いと警鐘を鳴らしています。

経歴

濱口氏は、1983年に労働省に入省後、様々な部署でキャリアを積みました。東京都労働経済局や池袋公共職業安定所での勤務を経て、労働省本省では労働時間課長補佐、高齢・障害者対策部企画課長補佐などを歴任しました。1995年から1998年には、欧州連合日本政府代表部一等書記官として、ヨーロッパの労働事情にも精通しました。

帰国後は、埼玉県労働商工部職業安定課長、労働福祉事業団総務部総務課長などを経て、2001年には衆議院調査局厚生労働調査室次席調査員に就任しました。その後、大学教員として研究活動にも従事し、東京大学大学院、政策研究大学院大学で教鞭を執りました。

2008年に厚生労働省大臣官房付となり、労働政策研究・研修機構労使関係・労使コミュニケーション部門統括研究員、客員研究員を歴任しました。そして、2017年4月からは労働政策研究・研修機構労働政策研究所長に就任し、日本の労働政策研究の中核を担っています。

研究テーマと著書

濱口氏の研究テーマは、労使関係・労使コミュニケーションに重点が置かれています。これまでの研究成果は、数多くの著書として刊行されています。単著としては、『EU労働法の形成』、『労働法政策』、『新しい労働社会』、『日本の雇用と労働法』、『日本の雇用終了』、『若者と労働』、『日本の雇用と中高年』、『働く女子の運命』、『日本の雇用紛争』、『ジョブ型雇用社会とは何か』、『賃金とは何か』などがあります。これらの著書を通じて、日本の雇用問題や労働法政策について、多角的な視点から分析と提言を行っています。

また、編著や訳書も多数あり、『福祉と労働・雇用』、『ヨーロッパ労働法』、『EU労働法全書』、『世界の高齢化と雇用政策』、『日本の若者と雇用』、『日本の労働市場改革』、『世界の若者と雇用』などがあります。これらの著書は、日本の労働政策を考える上で不可欠な文献となっています。

ブログ活動

濱口氏は、「hamachan」のニックネームで、労働政策に関するブログを運営しており、労働問題に関する情報を発信しています。ブログを通じて、研究成果や社会問題に対する意見を一般に向けて分かりやすく解説し、社会への啓発活動にも尽力しています。


濱口桂一郎氏は、労働官僚、研究者、情報発信者という様々な顔を持ち、日本の雇用問題の第一線で活躍を続けています。その活動は、日本の労働政策の発展に大きな貢献をしています。

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