火星12

火星12 - 北朝鮮の中距離弾道ミサイル

火星12（かせい12、ファソン12）は、北朝鮮によって開発された中距離弾道ミサイル（IRBM）で、NATOコードネームはKN-17です。このミサイルは諸般の発射実験を通じて、その性能が確認され、特に核弾頭を搭載する能力が強調されています。

発射履歴

初回発射（2017年5月14日）

初めて火星12が発射されたのは2017年5月14日で、北朝鮮の平安北道亀城から行われました。この時、ミサイルは高度2111Km、水平距離787Kmを飛行して日本海に着水しました。発射の翌日、朝鮮中央通信ではこのミサイルが新型の火星12であることが伝えられ、大型の核弾頭を搭載できることや、特異なロフテッド軌道での発射が行われたことが報じられました。この実験は、弾頭の大気圏再突入能力や起爆システムの精度を確認する目的で実施されたとされており、金正恩の指導の下で核兵器やミサイルの増産と実験準備が進められるとの指示がありました。

その後、韓国の国防部は、このミサイルが同年の太陽節の軍事パレードで初登場したものだと分析し、射程5000Km程度の中距離ミサイルであると報告しています。また、弾頭の搭載重量によって射程が異なることも指摘され、500Kgの弾頭であれば5,000Km、1トンの弾頭であれば3,000Kmの射程が得られると言われています。

二回目の発射（2017年8月29日）

二度目の発射は2017年8月29日、北朝鮮の順安から行われました。この時のミサイルは高度550Km、水平距離2,700Kmを飛行し、太平洋上に着水しました。この発射は日本列島上空を通過するもので、特にJアラートが発令され、それに伴い日本国内の鉄道運行が一時見合わせとなりました。

北朝鮮の国営メディアは、この発射が米韓合同軍事演習に対抗するために行われたものであると報じています。こうした挑発的な発射は、国際社会における緊張を引き起こしました。

三回目の発射（2017年9月15日）

三度目は同年9月15日に行われ、ミサイルは高度800Km、水平距離3,700Kmを記録しました。この飛行距離は、北朝鮮がこれまで実施した弾道ミサイル発射実験の中で最長のものであり、米国領のグアムを射程内に収める結果となります。この発射においても日本では警報が発令され、国民に対して注意が促されました。

発射翌日には金正恩が核戦力の完成に至る目標がほぼ達成されたとの発表を行い、火星12の戦力化が実現したことを強調しました。

火星シリーズの位置付け

火星12は、北朝鮮の弾道ミサイルシリーズの一環として位置付けられています。例えば、スカッドBやスカッドCはそれぞれ火星5と火星6、ノドンは火星7に分類され、ムスダンは火星10とされています。また、2017年には北朝鮮初のICBMである火星14と、その後の全米を射程圏とするICBMである火星15も発射されています。これらの発射実験は、国際的な関心を引き続けるとともに、北朝鮮の軍事戦略の変化が伺えます。

今後も火星12を含む北朝鮮のミサイル開発は注視されるべき課題であり、国際情勢に大きな影響を与える可能性があります。

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