火災調査

火災調査の概要

火災調査とは、発生した火災の原因や被害の実態を調べることを指します。この調査では、火災がどのように発生したのか、何が原因で延焼が拡大したのか、また、避難時の問題点などを多角的に分析します。加えて、火災による損害の程度や評価額も重要な要素です。

法的手続き

火災調査は法的にも規定されており、消防法第7章に基づいて行われます。この法律により、消防機関は火災の原因や損害を調査する権限を持ちます。また、消防職員は現場への立入や資料の提出を求める権利も与えられています。

調査は警察などの他の機関とも連携して行われ、特に放火や失火などの事件に関連する場合は、強制捜査が行われることもあります。災害が発生した場所によっては、海上保安庁や労働基準監督署などの関連機関が調査を担当し、それぞれの法令に従って行動します。さらに、火災保険会社も損害確認のために調査を行います。

火災調査の対象

火災調査は出火原因と損害状況を調べる2つの側面から成り立ちます。出火原因調査では、出火箇所や初期消火状況、延焼状況、避難状況などを詳細に調べます。一方、火災損害調査では、人的被害や物的損害の程度、損害額の評価が行われます。また、火災の種類には従来の建物火災だけでなく、林野火災や車両火災などがあり、調査のプロセスが異なります。

焼損の区分

火災の損害状況は、全焼、半焼、部分焼、ぼやの4つに分類されることで、被害の規模が分かりやすく示されます。このような区分は、火災後の状況を評価する上で非常に重要です。

調査手順

火災現場での調査は、まず消防隊が現場に到着した時の状況を観察する「消防活動中の調査活動」から始まります。その後、火が消火されてから本格的な調査が行われ、「鎮火後の調査活動」と呼ばれます。最後には、出火原因を確定するための「立証のための調査活動」が実施され、出火箇所や周辺の状況を客観的に分析します。

火災原因の統計

火災の原因は、大きく分けて故意によるもの、過失、不慮、自然現象に分類されます。日本では、日本火災学会が定めた分類コードを用いて、出火源や出火箇所を基にした統計が実施されています。これによると、過去の火災の原因分析が進み、消防や防災対策に活用されています。

火災調査書類

火災調査の結果は、消防機関によってまとめられ、火災調査書類として保存されます。これらの書類は個別の火災についての詳細な情報を記録しており、調査結果が非公開である場合を除いて公開されることもあります。書類には、火災原因判定書や現場見分書などがあり、これらを基にさらなる研究や対策が進められています。

火災調査は、ただの事後対応ではなく、次の防火対策や法改正に繋がる重要なプロセスであり、社会全体の安全性向上に寄与しています。

もう一度検索