灯火管制

灯火管制（とうかかんせい）

灯火管制とは、敵機の夜間による襲撃を防ぐために、ある地域において光を調整する取り組みです。具体的には、消灯や減光、遮光、漏光制限などを行い、夜間に敵が特定の地点を認知しづらくすることを目的としています。

概要

この灯火管制は2つの方法に分かれます。一つは各家庭や施設で光を調整する「各個管制」で、もう一つは発電所などで統一的に電気供給を断つ「統一管制」です。統一管制は産業に与える影響が大きくなるため、慎重に運用されます。そのため、特定の灯火を対象とした「種別的統一管制」も存在します。具体的な手法としては、以下のものがあります。

• - 消灯: 全ての光を消すこと。
• - 隠蔽: 光が漏れないように開口部を覆うこと。
• - 減光: 光源の明るさを特定の値まで下げること。
• - 減光遮光: 光を減少させ直射光の範囲を限定すること。
• - 漏光制限: 開口部から漏れ出る光を抑えること。

灯火管制は実際に軍事作戦でも実施されます。例えば、フォークランド紛争ではイギリスの部隊がこの手法を用いました。

歴史

第一次世界大戦

第一次世界大戦中、ドイツの飛行船がロンドンを爆撃しました。イギリスは効果的な対策を実施するため灯火管制を導入しましたが、初期の段階では十分な効果を上げませんでした。調査の結果、周囲の明るい光に対抗するために、灯火管制の範囲を広げることで、より効果を上げました。結果として、爆弾の半数が被害の少ない郊外に投下されることとなりました。

第二次世界大戦

第二次世界大戦では、イギリス、ドイツ、日本など、多くの国で灯火管制が実施されました。しかし、夜間爆撃においては効果が薄れつつありました。アメリカのB-29爆撃機は高性能なレーダーを装備していたため、灯火管制が無効化されることが多かったのです。日本も日中戦争を経て1938年に規則を制定し、戦争の終結まで実施しました。

朝鮮戦争

朝鮮戦争では1950年6月、福岡市などで灯火管制が行われ、同時に空襲警報が発令されました。

湾岸戦争

1992年の湾岸戦争では、バグダードで灯火管制が施行されましたが、アメリカ軍の精密爆撃能力によって、その効果は薄いものでした。これを受けて2003年のイラク戦争時には積極的な灯火管制は行われませんでした。

コソボ紛争

1999年のコソボ紛争では、NATOがユーゴスラビアに対して灯火管制を実施しました。このように、灯火管制は歴史を通じて軍事戦略の一環として利用されてきました。

関連項目

• - 夜戦
• - 空襲
• - 戦略爆撃

灯火管制は、戦争における重要な戦術の一つであり、敵の視認性を低下させることで、自国の防衛に寄与してきました。その効果と限界を理解することは、戦争の歴史を学ぶ上でも重要です。

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