災害拠点病院

災害拠点病院について

日本における災害拠点病院は、地震、津波、台風、噴火などの自然災害時において、医療支援を行うための医療機関です。この病院は、基幹災害医療センターや地域災害医療センターを整備し、各都道府県において重要な役割を果たしています。

設置の背景と経緯

1995年に発生した阪神・淡路大震災を契機に、日本の災害医療体制に対する見直しが行われました。この震災では、多くの負傷者が出たにもかかわらず、医療機関がその対応に追われ、需給が満たされない状況が生じました。この経験に基づき、厚生省は被災地の医療機関や専門家からなる「災害医療体制のあり方に関する研究会」を設置し、研究成果をもとに災害時に備えた医療支援の拠点を設置することが提案されました。

その後、厚生省は各都道府県に対して災害時の初期救急医療体制の整備を通達しました。これにより、都道府県知事が要請するかたちで、災害時の医療救護班の派遣や負傷者の受け入れが可能となりました。災害拠点病院の存在は、医療体制が崩壊した地域において、迅速な医療救護を実現するために欠かせません。

災害拠点病院の条件

災害拠点病院として指定されるためには、いくつかの条件があります。まず、建物は耐震耐火構造である必要があります。また、必要な医療資器材が備蓄されていることも必須です。さらに、応急収容に転用できるスペースを確保し、自給自足できるための資材（例えば、自家発電機や応急用テント）が必要です。最後に、ヘリポートの設置も要求されます。

耐震性とその重要性

厚生労働省の定める『災害拠点病院の整備基準』では、耐震構造が求められるのは「救急診療を行う棟」に限っていますが、国は建物全体の耐震化が望ましいとの指針を示し、補助を行っています。2011年の東日本大震災では、耐震性が不十分な病院も存在し、地震による損害を受ける結果となりました。また、津波の影響を考慮して、特に津波の危険が高い地域の病院では、3階以上での救急診療が可能になるような改修が検討されています。

まとめ

このように、災害拠点病院は日本の医療体制において極めて重要な役割を果たしています。災害時において病院が果たすべき責任は大きく、その準備や強化が求められています。今後も、災害医療の充実を図るため、拠点病院の整備は重要な課題と言えるでしょう。

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