炎のニンジャマン

島本和彦氏が描く、常識破りの熱血忍者アクション漫画が『炎のニンジャマン』です。本項目では、週刊少年サンデーで連載された本編に加え、学年誌に掲載された外伝『炎の信長・戦国外伝』についても解説します。

『炎のニンジャマン』本編

1991年52号から1992年40号にかけて、小学館の「週刊少年サンデー」にて連載されました。作中における「ニンジャマン」とは、通常の忍術をはるかに凌駕する力を操る存在を指します。

物語の中心となるのは、主人公である忍火満太郎（にんかまんたろう）です。彼は強力な必殺技「真空かまい太刀」や、周囲に真空波を発生させる「円空かまい太刀」を駆使して戦います。満太郎の前には、ライバルとして登場する忍火万太郎（にんかばんたろう）、破堂大（はどうだい）、目胴殺気（めどうさっき）、そして迷彩服を纏ったメイサイニンジャなどが立ち塞がります。女性キャラクターでは、現代のくノ一である久ノ伊千種（くのいちちぐさ）が登場。また、自身の体を手裏剣として用いる「カラダ手裏剣」や、見えない糸を使ったトラップ「スパイダートラップ」など、ユニークな忍術や技が登場します。他にも「流石」と「一流」のアナグラムから名付けられた流石流一（さすがりゅういち）や、「図星京一郎」が由来の図星今日一（ずぼしきょういち）といった、個性的な超人たちが物語を彩りました。

単行本は小学館より全4巻が刊行されています。初版は1巻が1992年 6月18日、2巻が1992年 8月10日、3巻が1992年 10月17日、4巻が1992年 11月18日でした。

『炎の信長・戦国外伝』

本作は『炎のニンジャマン』の外伝として、小学館の学年誌「小学六年生」にて1992年8月号から1993年3月号まで連載されました。本編と同じ時期に連載された作品ですが、物語上の直接的な繋がりはほとんどなく、単行本の解説では作者自身によって「全くの別物」と評されるほど独立性の高い作品です。当初は『炎のニンジャマン・戦国外伝』というタイトルでしたが、単行本化の際に『炎の信長・戦国外伝』と改題されました。

外伝における「ニンジャマン」は「忍者万」と表記され、「一人で一万人の力を持つ忍」という意味合いを持ちます。物語は、21世紀から戦国時代へタイムスリップした初代ニンジャマンが、歴史改変を目論む敵「自牙忍者（じがにんじゃ）」から織田信長を守るために戦うところから始まります。初代ニンジャマンはエネルギーを消耗して老人になってしまい、拾って育てた満太郎定光（まんたろうさだみつ）にその使命を託します。満太郎定光は二代目ニンジャマンとして信長に仕えますが、最終的には歴史を守るために自らの手で信長を討つことになります。

敵となる自牙忍者は、21世紀の犯罪者で、信長になり代わって天下を取ろうと戦国時代へやって来ました。複数存在するものの、個別名は明かされず、便宜上「一人目」「二人目」「三人目」として区別されます。一人目は信長に変装して初代ニンジャマンに倒され、二人目は桶狭間の戦いの混乱の中で二代目ニンジャマンに討たれました。最も信長たちを苦しめた三人目は、宣教師ルイス・フロイスに化けて信長の信頼を得た後、信長と入れ替わります。本能寺の変を回避しようと画策しますが、本物の信長が救出されたことを知り逃亡。最後は偽の本能寺に宿泊していたところを信長に討たれました。

戦国時代の人物たちも物語に深く関わります。織田信長は自牙忍者の標的となりますが、西洋風の城の設計、鉄製の船の建造、鉄砲のオートメーション三段撃ちの考案など、その天才ぶりが強調されています。単行本では、本能寺の変を回避した後に明智光秀に斬りかかられ、二代目ニンジャマンに介錯されるという形で最期が描かれています。今川義元は桶狭間の戦いで二代目ニンジャマンに討たれ、今川焼が好物という設定で描かれました。木下藤吉郎（後の豊臣秀吉）は自牙忍者との関わりをきっかけに出世します。武田信玄は21世紀の風邪薬で一時的に病が回復しますが、最終的に病が悪化して死亡。徳川家康は武田軍に敗北するも生き延び、後の天下取りへと繋げます。武田勝頼は武将からの信頼を得られず、長篠の戦いで再起不能なダメージを負います。宣教師のルイス・フロイスは、安土城のデザインに影響を与えますが、実は自牙忍者が化けていた可能性がある人物です。毛利輝元は信長の鉄の船に苦戦し、佐久間信盛や林道勝は信長に追放されるなど、多くの武将が登場します。特に明智光秀は、天下取りの器ではないと悩みつつも、囚われの信長を救出し、単行本では信長に致命傷を与える役目を果たし、結果的に歴史通りの流れを作り出した人物として描かれました。また、伊賀のくノ一である飛鳥（あすか）は、最初は敵として登場しますが、後に二代目ニンジャマンと関係を深めます。

単行本は徳間書店より全1巻が刊行されており、ISBN 4-19-834034-Xです。初版は1994年 3月20日でした。

本編、外伝ともに、島本和彦氏らしい熱い展開と個性的なキャラクターが魅力の作品と言えるでしょう。

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