炭団

炭団（たどん）についての詳細

炭団とは、木炭や竹炭、石炭などの粉末を、フノリなどの結着剤と混ぜて団子状に整形し、乾燥させた燃料を指します。日本では冬の季語としても知られています。

炭団の歴史と製造方法

木炭は製造過程で細かい欠片が大量に発生するため、これを効率的に利用するために炭団が作られました。運搬の際に衝撃で砕けた木炭の粉末を集め、粘着性のある材料と混ぜ合わせることで手作りされたことが起源とされています。火力は控えめですが、持続的に燃焼する特性があり、火鉢やこたつ、煮物の調理に適していました。特に一般家庭では、使い残した炭の粉を集めて自家製の炭団を作ることもありました。

江戸時代になると、塩原太助によって海藻を混ぜた新しい炭団が発明され、商業的にも大成功を収めました。製造にはふのりやツノマタという海藻のほか、ジャガイモのデンプンや土などが加えられ、成人の握りこぶしほどの大きさに丸められて乾燥させられました。この技術は伝承されることで、地域の産業としても大切な役割を果たしました。

使われてきた背景と変遷

高度成長期が訪れるまで、炭団は主に家庭での暖房や調理のために使われてきました。火鉢やこたつはこの燃料を必要としていましたが、昭和30年代の時代には全国各地で炭団製造が行われていました。しかし、戦後のエネルギー革命により、家庭での炭団の使用は少なくなりました。

また、炭団は雑草やトウモロコシの芯から作られることもあり、効率的に長時間燃焼することで経済的な燃料として重宝されました。粘着剤には、家畜の糞を使うこともでき、これにより発展途上国への技術支援も行われています。

香道における炭団

香道では、特に高品質な木炭の粉を特別に固めた「香炭団」を使用します。これは一般的な暖房用炭団とは異なり、香りを楽しむための素材とされます。

炭団にまつわる文化

大相撲界では、炭団の形状や色合いから「黒星」という敗戦を指す用語が使われています。また、特定の言い回しで「炭団に目鼻」といった表現が見られ、美や整った容貌を他と比較して説明されることがあります。例えば、「玉子に目鼻」や「南瓜に目鼻」といった表現があります。

さらに、東京都文京区本郷には炭団坂という地名があります。

炭団を描いた作品

炭団に関連する作品も多く存在します。例えば、1998年に公開された映画『たどんとちくわ』や、大友克洋の漫画『AKIRA』には「炭団」と呼ばれるメカが登場します。また、長谷川町子の漫画『サザエさん』には、客が暗闇でミカンと間違えた炭団を手に取る描写があります。これにより、炭団は文化的にも深い影響を与え続けています。

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