無形文化遺産の保護に関する条約

無形文化遺産の保護に関する条約

無形文化遺産の保護に関する条約は、2006年4月20日に発効した多国間の国際条約であり、主に無形文化遺産の保護を目的としています。この条約は、無形文化遺産に対する尊重を促進し、国際的な協力を強化するための基盤を築くことを目的としています。

条約の目的と定義

この条約の第1条では、無形文化遺産を守ることと、その重要性を認識することが明記されています。また、第2条では無形文化遺産の具体的な定義が示されています。無形文化遺産とは、慣習や表現、知識や技術、さらにはそれに関連する器具や文化的空間など、社会や集団、個人が自己の文化の一部として認識するものを指します。

他の国際文書との関係

第3条では、この条約の規定が他の国際的な合意や法律に与える影響についても触れています。特に無形文化遺産が世界遺産とどのように関連しているか、またその法的地位がどうなるかという点について言及されています。

締約国会議と無形文化遺産保護委員会

この条約に基づき、締約国会議が設置され、通常は2年ごとに開かれます。第5条から第9条にかけては、無形文化遺産の保護のための政府間委員会の設置やその運営についての規定があります。委員会はユネスコの事務局による支援を受けながら活動し、無形文化遺産の保護に向けた措置を推進します。

国や団体の役割

第11条では、各締約国が自国に存在する無形文化遺産を保護するために必要な措置を講じる責務を負うことが強調されています。また、各国は自国の文化の特性に応じた目録を作成し、無形文化遺産を保護する準備を整える必要があります。

人類の無形文化遺産としての一覧表

第16条および第17条では、無形文化遺産に関する代表的な一覧表や、緊急に保護が必要な無形文化遺産の一覧表の作成について説明されています。これらの一覧表は委員会によって常に更新され、公表されることで、国際的な認知を促進します。

財政および基金の設立

第25条及び第26条では、無形文化遺産の保護のための基金が設立されることが規定され、締約国がそれに対して分担金を支払う義務についても触れています。この基金は、国際的な援助が必要な無形文化遺産を保護するための重要な経済的支柱となります。

歴史的経緯

この条約は、2003年にユネスコ総会で採択され、2004年には日本がその受託書を寄託しました。2006年1月には締約国の数が発効に必要な30か国に達し、同年4月には47か国による発効を迎えました。これにより、無形文化遺産の保護に向けた国際的な取り組みが一層強化されることとなりました。

無形文化遺産の保護に関する条約は、文化の多様性を認識し、各国が協力して多様な文化を守っていくための重要な枠組みを提供しています。

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