無防備都市

『無防備都市』

概要

『無防備都市』は、ロベルト・ロッセリーニによるイタリア映画で、ネオレアリズモを代表する作品の一つです。原題の「Roma città aperta」は「開かれた都市ローマ」という意味で、ドイツ軍占領下のローマでの対独レジスタンスの活動を描いています。この映画はカンヌ映画祭の特別賞を受賞しており、国際的な評価を得ています。

映画は、ドイツ軍の不気味な行進や家宅捜索から始まり、その緊迫感が視聴者を惹きつけます。また、映画を観たハリウッドの女優イングリッド・バーグマンがロッセリーニに手紙を送り、その後2人は不倫関係に陥るなど、映画界でも話題となりました。1930年代に始まったネオレアリズモは、戦後イタリア映画の代表的なスタイルとして評価されています。

ストーリー

第二次世界大戦の終息期、イタリアは連合軍に降伏し、ドイツ軍がローマを占領している状況です。レジスタンスのリーダー、マンフレーディは、資金調達のためにローマに登場しますが、ゲシュタポに追われる身となります。彼は神父のドン・ピエトロに助けを求め、同志である印刷工フランチェスコにかくまってもらいます。

映画では、特に緊迫したシーンが多く、フランチェスコとピーナの結婚式の日には、ナチスがアパートを包囲します。子供たちもレジスタンスに関わっており、神父は子供が隠していた爆弾を見つからないようにするなど、物語の中には深い人間ドラマが描かれています。マンフレーディは無事逃げるものの、フランチェスコや同志たちは捕らえられてしまいます。

物語は、多くの悲劇を通してレジスタンス活動を描いており、特にマンフレーディの拷問は人間の尊厳を問う強いメッセージを持っています。彼は、拷問に耐えながらも決して口を割らず、自らの信念を貫きます。

キャストとキャスティング

この映画のキャストには、当時の人気俳優たちが参加していますが、特に神父役のアルド・ファブリーツィは重要な役割を果たしました。彼は、レジスタンスのためにFake identificationを作成する神父として描かれます。アンナ・マニャーニが演じるピーナも印象に残るキャラクターです。彼女は、戦争の中でサバイバルする強い女性の象徴として描かれています。

映画の公開後、観客からの反応は冷静でしたが、後に高く評価されることになりました。特に、海外での成功がイタリア国内での認知を高め、映画の価値が見直されたのです。

映画史からの位置づけ

『無防備都市』は、ネオレアリズモが確立される過程で重要な位置を占めています。この作品は、後の作品と比較しても独特な雰囲気を持ち、ドキュメンタリー的な要素も感じられる一方で、ドラマティックな要素も共存しています。また、作品中では、官僚的な冷酷さと、戦争の現実がリアルに描写されており、多くの視点から評価されています。

結論

この映画は、ただの戦争ドラマではなく、レジスタンスの精神や人間の尊厳、そして免疫的対抗を描いた作品として映画史に名を刻んでいます。ロッセリーニは、戦争の悲劇を通じて、強いメッセージを観客に届けています。それは、映画を観ることで人々がどのように感じ、考えるべきかを問いかける強い力を持っているのです。

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