熱海市立網代小学校

熱海市立網代小学校

かつて静岡県熱海市網代に存在した公立小学校、それが熱海市立網代小学校（あたみしりつ あじろしょうがっこう）です。この学校は、明治時代初期の学制発布を背景に、この地域の教育の中心として長い歴史を刻んできました。しかし、時代の変遷と共に児童数が減少し、少子化の影響を受けて、2021年（令和3年）3月26日をもってその歴史に幕を閉じ、熱海市立多賀小学校に統合されることとなりました。

沿革

網代小学校の歴史は、さかのぼること明治6年（1873年）9月に始まります。この時、熱海学校の分校として「熱海学校 網代分校」が創設されたのが起源です。その後、教育体制の整備が進む中で、明治8年（1875年）10月には熱海学校から独立し、「網代学校」として新たな歩みを始めました。

学校の名称は、その後の教育制度や自治体の変遷に伴って幾度か変更されています。明治19年（1886年）12月には「網代尋常小学校」となり、この頃には学校の基本的な体制が整えられていったと考えられます。さらに明治23年（1890年）3月には、学校の象徴である校章が制定され、学校としてのアイデンティティが確立されていきました。

明治39年（1906年）4月には、網代村の教育機関として「網代村網代尋常高等小学校」と改称され、尋常科に加え高等科も設置されるなど、教育内容の拡充が図られました。太平洋戦争中の昭和16年（1941年）4月には、国民学校令に基づき「網代町国民学校」に改称。戦後、日本の教育制度が大きく改革される中で、昭和22年（1947年）4月には「網代町立網代小学校」として再出発を切りました。

自治体の合併も学校の名称に影響を与えました。昭和32年（1957年）4月に網代町が熱海市と合併したことに伴い、「熱海市立網代小学校」と改称され、閉校に至るまでこの名称が用いられました。学校施設の面では、昭和52年（1977年）に新しい校舎が完成するなど、教育環境の整備も進められました。

学校の節目となる出来事も多くありました。昭和39年（1964年）11月には、子どもたちの心を育む校歌が制定されました。そして、創立から100年の節目を迎えた昭和49年（1974年）3月には、盛大に創立100周年記念祭が執り行われ、地域と共に歩んできた長い歴史を祝いました。

閉校へ

しかし、時代の流れと共に、網代地域でも子どもの数が減少していきました。少子化は全国的な傾向であり、地域の学校運営にも大きな影響を与えました。児童数の減少は避けられず、学校を維持することが困難になった結果、熱海市立網代小学校は閉校という選択をせざるを得なくなりました。2021年（令和3年）3月26日の閉校式をもって、140年以上に及ぶその歴史に静かに幕が下ろされました。

閉校後、網代小学校の児童たちは、同じ熱海市内の熱海市立多賀小学校に統合されました。多賀小学校が網代小学校の教育を引き継ぎ、地域の教育を担うことになりました。

網代小学校は、長年にわたり、網代地域の子どもたちの成長を見守り、多くの卒業生を社会に送り出してきました。地域コミュニティにとって、学校は単なる学びの場だけでなく、人々の交流や地域の絆を育む大切な場所でした。閉校は地域の歴史における一つの区切りとなりますが、そこで育まれた学びや思い出は、卒業生や地域の人々の心の中に生き続けていくことでしょう。その歴史は、熱海市の教育史の一部として記憶されるべき貴重なものです。

参考文献

『熱海市史 下巻』（熱海市・熱海市史編纂委員会、1968年）

関連項目

静岡県小学校一覧

外部リンク

* 公式ウェブサイト（※閉校時点のもの。現在は存在しない可能性あり）

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