熱田孝高

熱田孝高（あつた よしたか）は、1977年10月14日に宮城県仙台市で生まれた、日本のモトクロス界を代表する元プロフェッショナルライダーである。卓越したライディングスキルと不屈の精神で、国内最高峰の全日本モトクロス選手権において複数回のタイトルを獲得し、さらに世界選手権の舞台でも活躍した。

彼の競技人生は1993年、全日本モトクロス選手権の国際B級クラスでのデビューから始まった。翌1994年には早くも国際A級に昇格し、125ccクラスで年間ランキング13位となるなど、その才能は初期から注目を集めた。1997年にはMFJスーパークロス選手権の250ccクラスでチャンピオンに輝き、トップライダーへの階段を駆け上がった。

1998年からは、全日本モトクロス選手権の国際A級250ccクラス（現在のIA1クラス）を主戦場とする。同年は年間ランキング5位。兄であるMOTO1ライダーの熱田高輝もオートバイ競技の世界で活躍しており、兄弟でロードレースとは異なるオフロードの道を極めた。1999年、2000年と連続でランキング2位となるなど、国内最高峰クラスで常にタイトル争いに加わる存在となった。この期間、モトクロス・デ・ナシオン（国別対抗世界選手権）には日本代表チームの一員として出場し、世界の強豪と技を競い合った。特に2000年には日本チームの6位入賞に貢献している。

2001年、熱田はついに長年の目標であった全日本モトクロス選手権国際A級250ccクラスのチャンピオンを獲得した。ホンダのワークスチームであるチームHRCの一員として掴んだこのタイトルは、彼にとって大きな節目となった。この成功を足がかりに、熱田は世界最高峰の舞台であるモトクロス世界選手権への挑戦を開始する。

2001年末から、熱田はヨーロッパへ拠点を移し、モトクロス世界選手権に本格参戦。2002年は250ccクラスでランキング23位。翌2003年からはクラス名称がMXGPに変更され、この年ランキング10位に入り、世界選手権での日本人ライダーとして確かな足跡を残した。2004年もMX1クラスでランキング10位を維持するなど、世界レベルでの競争力を示した。この海外挑戦期間中も、熱田はモトクロス・オブ・ネイションズに日本代表として招集され、チームに貢献した。特に2003年には日本チームは6位入賞を果たしている。2005年までモトクロス世界選手権に参戦し、ランキング14位となったこの年をもって、5年間にわたる海外での挑戦を終え、日本へ帰国した。

日本復帰後、熱田は再び全日本モトクロス選手権IA1クラスに参戦。2006年には復帰後初となる全日本チャンピオンを獲得し、衰えぬ実力を見せつけた。その後もトップライダーとして活躍を続け、2010年にはスズキのマシンを駆り、自身3度目となる全日本チャンピオンに輝いた。

長年にわたり国内および世界のモトクロスシーンで第一線で戦い続けた熱田孝高は、2016年10月、惜しまれつつプロモトクロスライダーとしての現役生活に終止符を打った。そのキャリアを通じて、彼は多くのファンに感動を与え、後進の育成にも影響を与えた。

プロモトクロスライダーを引退した後も、熱田のオフロードバイクへの情熱は衰えることはない。近年は、全日本エンデューロ選手権（JEC）や全日本クロスカントリー選手権（JNCC）といった、モトクロスとは異なる形式のオフロード競技に参戦しており、新たな挑戦を続けている。その経験と技術は、形を変えて日本のオフロードシーンに貢献し続けている。

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