燃える戦場

『燃える戦場』(Too Late the Hero)：ベトナム戦争の悲劇と人間のドラマ

1970年10月10日、アメリカで公開された戦争映画『燃える戦場』(Too Late the Hero)は、ベトナム戦争の過酷な現実と、そこで戦う兵士たちの苦悩をリアルに描いた作品です。製作には、アソシエーツ&アルドリッチ・カンパニー、パロマー、ABCピクチャーズが参加し、20世紀フォックスが配給を担当しました。

本作は、大ヒットを記録した『特攻大作戦』に続く戦争映画として、ABCピクチャーズの強い意向を受けて制作されました。監督を務めたのは、ロバート・アルドリッチ。彼は、10年以上前に温めていたテレビシリーズの企画を元に、本作の脚本を執筆しました。

撮影は1969年1月15日から6月27日にかけて、フィリピンのザビック湾近郊とロサンゼルスのアルドリッチ・スタジオで行われました。フィリピンでのロケは、ベトナム戦争の戦場をリアルに再現するために不可欠でした。過酷な自然環境の中、スタッフ・キャスト一同が一体となって撮影に臨んだことでしょう。

アルドリッチ監督は、本作において単に戦争の残酷さを描くだけでなく、兵士たちの内面にも焦点を当てています。祖国への愛国心、仲間との友情、そして生への執着といった複雑な感情が、彼らの行動や言動を通して表現されています。戦闘シーンの迫力は言うまでもなく、人間ドラマとしての深みも併せ持つ、見応えのある作品に仕上がっています。

スタッフ、キャスト陣も豪華です。監督・脚本のロバート・アルドリッチに加え、共同製作にウォルター・ブレーク、助監督にグレーソン・ロジャースとマルコルム・ハーディング、脚本にはルーカス・ヘラー、撮影はジョセフ・バイロックといった、ハリウッドを代表する才能が集結しました。音楽はジェラルド・フリード、美術はジェームス・バンスが担当し、作品全体のクオリティを高めています。その他にも、録音、照明、編集、衣装、メイクアップ、特殊効果など、多くのスタッフがそれぞれの技術を駆使して、この戦争映画の世界観を作り上げています。

日本では、1975年12月14日にNETテレビ（現テレビ朝日）の「日曜洋画劇場」で日本語吹き替え版が放送されました。この放送により、日本の多くの観客も本作を鑑賞する機会を得たことでしょう。

『燃える戦場』は、単なる戦争映画にとどまらず、人間の尊厳と戦争の悲劇を深く問いかける作品です。戦争の残酷さと悲しみを描きながらも、希望の光を見出すことができる、そんな力強いメッセージが込められています。ベトナム戦争を題材にした数多くの映画の中でも、本作は特に高い評価を得ており、戦争映画史に名を残す作品として、今なお語り継がれています。現在でも、allcinema、KINENOTE、IMDbなど、多くの映画情報サイトで本作の情報を見ることができます。

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