燕京伶人抄

燕京伶人抄

『燕京伶人抄』は、皇なつきによる日本の漫画作品。1997年に角川書店から発行されました。1920年代の北京（燕京）を舞台に、京劇の世界とそこに生きる人々の人間模様を描いた短編集です。

概要

全8編からなる短編集で、前半は京劇にスポットを当てた物語が中心です。作者が『さらば、わが愛/覇王別姫|さらば、わが愛_覇王別姫』から影響を受け、京劇の世界を描きたいと考えたことがきっかけで制作されました。

物語は、京劇役者やその家族、友人、そして彼らを取り巻く様々な人々を通して、当時の社会情勢や文化、人々の感情を描き出しています。

登場人物

魅力的な登場人物たちが織りなす人間ドラマも見どころです。

楊 洛仙（ヤン ルオシェン）: 人気の女形役者。物語の中心人物の一人。
馮 如海（フォン ルウハイ）: 京劇好きが高じて自ら戯曲を書いていたが、夢を諦め銀行員として暮らしていた。洛仙との出会いをきっかけに再び芝居への情熱を取り戻す。
馮 如山（フォン ルウシャン）: 如海の弟。芝居好きだが、祖父から観劇を禁じられている。役者を目指して家出する。
蓮湘（リェンシァン）: 洛仙と同じ劇団の役者。男装して舞台に立っている。
鳳霞（フォンシャ）: 如海の妻。愛されない寂しさを抱えている。
采蘋（ツァイピン）: 如海の妹。封建的な考え方に反発する。
綉文（シウウェン）: 芝居好きの少女。親が決めた結婚で夢を諦めようとする。
敏鴻（ミンホン）: 綉文の親友。采蘋とも友人。
小 翠環（シァオ ツイファン）: 洛仙の一座にやって来た少年。
曹 玉芳（ツァオ ユイファン）: 洛仙と人気を二分する役者。
韓 雁（ハン イェン）: 采蘋の婚約者。
如英（ルウイン）: 如海の弟、采蘋の兄。
晋華（チンホワ）: 敏鴻や采蘋の友人。将軍の妾になる。
汪太太（ワンタイタイ）／毓貞（ユイチェン）: 汪将軍の正妻。
阿環（アファン）／春生（チュンション）: 敏鴻の姪。
培源（ペイユァン）: 敏鴻の兄。
宜萱（イーシュアン）: 培源の元妻。
文絶（ウェンチェ）: 培源の妻。
十三爺（シーサンイエ）: 北京の富豪。
丹娘（タンニャン）: 没落した軍閥将軍の娘。ヌードモデルになる。
翡翡（フェイフェイ）: 丹娘の同居人。
周 友善（チョウ ヨウシャン）: 学生。丹娘に恋をする。

各話あらすじ

鳳凰乱舞: 役者になることを夢見る如山の物語。
愁雨歳月: 夫に愛されたいと願う鳳霞の物語。
鏡花水月: 結婚で夢を諦めかける綉文と洛仙の出会い。
落下流水: 新しい少年役者と洛仙の共演。
女兒情: 采蘋の婚約騒動。
雪晨: 妾として嫁いだ晋華の運命。
寶貝歌: 宜萱が実の娘に会いに行く物語。
暁の聲: ヌードモデルになった丹娘と学生・周友善の物語。


『燕京伶人抄』は、京劇の世界を舞台に、様々な人々の人生模様を鮮やかに描き出した作品です。恋愛、家族、友情、夢、そして時代の波に翻弄される人々の姿を通して、普遍的な人間の感情に触れることができます。

現在、角川書店から復刊版が発行されており、再び多くの読者に愛されています。

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