爆風

爆風（Blast Wave）

爆風とは、爆発に伴って空気中を伝播する圧縮波と、その背後に発生する負圧を伴う波形構造のことです。爆風には、以下の3つの主な特徴があります。

1. 高速伝播: 音速を超える速度で伝播する。
2. 急激な変化: 波面において密度と圧力が急激に変化する。
3. 負圧: 爆風の後には必ず負圧が伴う。

伝播速度が音速以下に減衰したものは爆音と呼ばれます。

爆風の圧力

爆風による過圧（Over pressure）は、一般的に爆薬量の3乗根に比例して大きくなり、爆源からの距離に反比例して小さくなります。この圧力は、ブラストメーターという測定装置を用いて測定されます。

空中爆発と地上爆発

爆薬が空中で爆発した場合、爆風の入射波が地面に反射し、地上反射波が発生します。この入射波と地上反射波が合わさることで、融合波面（マッハステム）が形成され、圧力が2倍近くにまで高まります。原爆の爆発高度が設定されている理由や、デイジーカッターと呼ばれる爆弾が地上近くで起爆するように設計されているのも、この効果を利用して爆風の効果を最大化するためです。

一方、爆薬が地面に接触した状態で爆発すると、爆発エネルギーの一部が地面への振動として消費され、クレーターを形成するだけで爆風の威力は減少します。

爆風による構造物の損傷

爆風は、構造物に大きな損傷を与える可能性があります。その威力は、爆薬の種類、量、爆発場所、構造物の材質や構造によって大きく異なります。

爆風による致死率

爆風による致死率は、負傷後に適切な治療を受けられるという前提での値です。致死率は、即死または48時間以内に死亡する確率を示します。これらの値は、動物実験や事故事例からの統計に基づいて推測されたものであり、実際の状況によって大きく異なる可能性があります。

爆風の圧力と致死率の関係は以下の通りです。

爆風による人体への損傷

人体が爆風に曝露した場合、最初に耳や眼が損傷を受けます。次いで、皮膚や肺が損傷を受けます。皮膚は厚手の衣服などで保護されていれば軽症で済む場合もありますが、呼吸器からの出血は重篤な状態を引き起こす可能性があります。さらに大きな爆風に曝露されると、臓器破裂などの深刻な怪我を負い、12.0kgf/cm2以上の爆風では、人体が原形を留めなくなるほどの損傷を受けることがあります。これらのデータは、ウサギやブタを用いた動物実験や爆発事故の事例を元にした統計的なものであり、状況によって結果は大きく異なる場合があります。

注意: ここで記述されている内容は、純粋に爆風に曝露された場合のみを考慮しており、爆風によって飛散した破片などによる怪我は考慮されていません。

関連項目

爆傷

脚注

爆風に関する情報は、様々な研究機関や政府機関によって公開されています。より詳細な情報が必要な場合は、専門機関のウェブサイトや文献を参照してください。

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