父、帰る

映画『父、帰る』について

『父、帰る』（原題: Возвращение、英題: The Return）は、2003年に制作されたロシア映画です。12年もの間、音信不通だった父親が突然帰宅し、兄弟が戸惑いながらも父との関係を築こうとする姿を描いています。

公開と評価

ロシアでは2003年6月25日に公開され、同年9月には第60回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に出品されました。そこで、最高賞である金獅子賞と新人監督賞をダブル受賞し、世界的に高い評価を得ました。日本では2004年9月11日にTOHOシネマズシャンテで公開されています。

あらすじ

物語は、アンドレイとイワンという兄弟が、母親と祖母と暮らしているところから始まります。二人は父親の顔を写真でしか知りませんでしたが、ある日、12年ぶりに父親が帰ってきます。父親はこれまでどこにいたのかを語らず、翌日から二人を連れて旅に出ると告げます。

翌朝、3人は釣りの道具を持って車で出発しますが、父親は行き先を告げず、高圧的な態度で子供たちに接します。兄のアンドレイは父親に好意的ですが、弟のイワンは不満を募らせていきます。三人は釣りを楽しんだ後、車で遠く離れた場所へ行き、小さな船を修理して無人島へと渡ります。そこで数日を過ごしますが、ある出来事をきっかけに、父子の間で激しい諍いが起こります。その最中、父親は不慮の事故で亡くなってしまいます。

島から脱出することを決意した二人は、父親の遺体を船に乗せて本土を目指します。無事に本土に到着しますが、浜に停めておいた船は波に流され、父親の遺体も海に沈んでしまいます。二人は海へ消えていく父親に向かって「パパ！」と叫び、姿が見えなくなると、車に乗ってその場を後にします。この旅を通して、兄弟は父親の存在と不在、そして喪失という感情を深く体験することになります。

キャスト

アンドレイ
イワン
父親

撮影について

撮影は、ロシア北西部のラドガ湖周辺で行われました。美しい自然が、物語の背景として効果的に描かれています。また、兄アンドレイ役を演じたウラジーミル・ガーリンは、撮影後まもなく湖で事故死するという悲劇に見舞われました。

その他

この映画は、父と子の関係、兄弟の絆、そして喪失という普遍的なテーマを扱いながら、観る者に深い感動と問いを投げかけます。映像美や音楽も高く評価されており、映画史に残る傑作として語り継がれています。

外部リンク

公式ウェブサイト（日本語）
父、帰る - allcinema
父、帰る - KINENOTE
Возвращение - オールムービー（英語）
Возвращение - IMDb（英語）

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